「ちょっと変える」発想法で生まれるアイデアの最大の特徴は、「わかりやすさ」です。
たとえば「四角いガムテープ」なら、「ふつうは丸いガムテープが、四角い」という違いに、誰もが一瞬で気がつきます。また、そこから「そうか、四角いから転がらないのか!」と、アイデアの意図やメリットもスムーズに理解してもらえます。
このようにワンビジュアルでメリットが伝わるため、見た人の興味を瞬時に惹ける強みがあります。「変化と、それによって生まれた価値」に気がつくまでのスピードが速いので、競合商品が多い市場などではとても強いアイデアになります。
見た目のインパクトがあり、説明がなくても伝播しやすいため、SNSで話題になりやすいのも特徴です。ほかにも、「ちょっと変える発想法」には以下のようなメリットもあります。
・「短時間」でアイデアが生まれやすい
・「小さな工夫で大きな価値を生むアイデア」が生まれやすい
・「期待」を超えて「やられた!」と思ってもらえる
「ちょっと変える」発想では、「どの部分を変えたのか」によって生まれるアイデアもまったく異なってきます。たとえば「えんぴつ」のアイデアを考える際に、「形を変えたアイデアなのか?」「色を変えたアイデアなのか?」「素材を変えたアイデアなのか?」によって、同じ「えんぴつ」という対象でもまったく違うアイデアが生まれます。
つまり、変える部分のバリエーションの幅をもっていると、ひとつの製品に対して複数のアイデアを生み出せるようになるのです。この手法によって生み出したアイデアをいくつかご紹介しましょう。
書いた感じがわかる「筆跡えんぴつ」
まず紹介するのは、「筆跡えんぴつ」です。これは、えんぴつの「柄」をちょっと変えたアイデアです。
昔から形も機能も変わらない「えんぴつ」という製品に対して、「もっと便利にできないか?」と考えたのがきっかけでした。えんぴつは誰もが使う文房具なので、そのなかで「ありそうでなかったアイデア」を生み出せれば、大きな「驚き」が生まれるかもしれないと考えたのです。
そこで、「課題を解決する」アプローチを用いて考えてみました。えんぴつの課題を考えたところ見つかったのが、「2H・HB・2Bという表記では濃さがわからない」というものです。硬度を表す「表示」について疑問を抱いたのです。アルファベットの表記だけで、実際の「書いた感じ」が想像できる人は少ないでしょう。
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