「芸能事務所が映画を作る」レプロが探る新機軸 新人監督の企画に出資して、映画を製作する
――現在公開中の『世界は僕らに気づかない』などは、人種やセクシュアリティの多様性が背景にある作品となっていて。これはなかなかメジャーな作品では取り扱わないような題材だなと思ったのですが。
最初に脚本をいただいたときは、もう少しゲイの男の子に寄った話でした。しかし飯塚さんが今どういうものに興味を持っているのか、どういう物語を作りたいのか、という議論を重ねていく中で、元々の脚本をそのまま撮るよりは、フィリピンダブルの高校生の物語にシフトしていったほうがいいのではないかということになりました。
近年の世界の映画を見渡すと、「自分たちが生きるこの社会には多種多様なセクシュアルマイノリティが生きていること」を前提にして何を描くか?という視点にシフトしている印象がありました。
飯塚監督とはその点を共通認識として持つことができたので、話がスムーズでした。7カ国、9都市の映画祭で上映されたのですが、そのリアクションや反応、感想などを聞いたりしていると、日本映画特有のなにかというよりは、同時代性のある作品として捉えてくださる方が多かったという印象がありますね。
新たな事業を育てないと経営的にもリスク
――製作をレプロが担当しています。その理由は?
ビジネス的な話で言うと、純粋に所属アーティストのマネジメント事業とは別の事業を育てていかないと経営的にリスキー、というのがコロナによってより強まったのは大きな要因です。
アーティストのマネジメント事業との親和性を考えると、コンテンツを製作し、それによってビジネスを仕掛けていくのが最も効率がよく、時代の流れとしてもそうなっていくんだろうなと感じています。
それともう1点。俳優のマネジメントというのは、今までであればメディアに営業し、キャスティングされ、出演するという流れが一般的です。
今も大きな流れは変わらないんですが、俳優の所属事務所がコンテンツをきちんと作ることができれば、俳優のプロデュースがやりやすくなります。
こういう役をやりたいとか、こういう方向に伸ばしたいというときに、自社で製作できる機能を持っていれば、俳優をプロデュースするために利用できるカードが1枚増えることになります。製作をすることのメリットは大きく言うとその2つがあると思います。
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