「子供の遊び場に」早大が野球場を開放したワケ コロナ禍で子供たちの運動機会はますます減少

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明治期、日本に到来したスポーツを紹介した教本の中には、野球のことを「打球鬼ごっこ」と説明しているものもある。野球は「鬼ごっこ」と近しい関係にあるのだ。

大人が子供に「教えてやろう」と上から目線で押し付けるのではなく、子供が遊びの中で自然にスポーツの動きを覚えていく、そして運動能力も向上する。昔の「屋外での遊び」はそういうものだったのだ。

グラウンドで子供たちを指導しているのは、早稲田大学野球部の4年生たちだ。すでに進路が決まり引退した選手たちが、背番号のついたユニフォーム姿で子供たちをリードしている。

選手たちは事前に今回の「鬼ごっこ×野球」のレクチャーを受け、どんな目的でこのイベントを催すのか、どんなことに気を付けるべきなのかを十分に理解している。彼らは子供たちに溶け込んで、子供を喜ばせることに専念している。

子供たちを惹きつける選手の正体

その中で飛び切りのアクションで子供たちを喜ばせている選手がいる。子供たちは、きゃっきゃと声を上げて選手にしがみついてくる。

(写真:筆者撮影)子供たちと遊ぶ蛭間拓哉

「あの背番号1は誰ですか?」

筆者は思わず大渕氏に聞いてしまったが

「何言ってるんですか、蛭間選手じゃないですか」

と言われてしまった。2022年ドラフト1位で西武ライオンズから指名された蛭間拓哉だった。強打の外野手だ。

この日のイベントには、いつもより新聞記者やテレビカメラが多かったが、メディアの多くは蛭間を追いかけていたのだ。囲み取材もあったようだが、筆者の問題意識はまったく違うところにあったので、気づかなかった。蛭間拓哉は選手として有望なだけでなく、人間的にも人を惹きつける魅力がある人材なのだろう。

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