「子供の遊び場に」早大が野球場を開放したワケ コロナ禍で子供たちの運動機会はますます減少

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早稲田大学野球部OB会が野球場を子供たちの「遊び場」として開放した(写真:筆者撮影)

昨年末、1軒の家からの「子供の遊ぶ声がうるさい」というクレームに端を発して長野市が公園廃止を決定するという出来事があった。「大人は子供の成長を見守るもの」「当事者にしてみれば住環境の劣化は耐えがたい」と大いに議論になったが、実は「子供の外での遊び」の問題は極めて深刻な段階にきている。

子供の運動能力が低下したワケ

2021年末にスポーツ庁が発表した「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」のサマリーによると、体力測定の数値は小中男女ともに2019年よりも低下した。

その要因として、

①運動時間の減少

②学習以外のスクリーンタイム(テレビ、スマホ、ゲーム機等による映像の視聴時間)の増加

③肥満である児童生徒の増加

があるとした。そして、この状況が新型コロナウイルス感染症の影響を受けさらに拍車がかかったとしている。また、コロナ感染拡大防止に伴って、学校の活動が制限されたことで、体育の授業以外での体力向上の取り組みが減少したと指摘した。

コロナ禍以前から、子供が身体を動かす時間は減少し、体力の低下が懸念されていたが、コロナによってますます深刻化しているのだ。

かつて、子供たちは学校から帰るとランドセルを放り出して公園や空き地に集まり、野球ごっこやドッジボールなどさまざまな遊びに興じたものだ。しかし、今の公園は多くが「球技禁止」になっている。そのうえに長野市の事例のように「子供の声がうるさい」というクレームもあり、子供が身体を動かす場所も機会も激減している。

テレビやスマホのゲームに子供がかじりつくのは「大人がそうさせた」という一面もありそうだが、子供のスポーツ経験の減少、運動能力低下は、日本の将来に暗い影を落とすのは間違いないところだ。

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