「子供の遊び場に」早大が野球場を開放したワケ コロナ禍で子供たちの運動機会はますます減少

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2022年12月12日、早稲田大学野球部OB会は、東京都西東京市にある安部磯雄記念野球場を子供たちに開放し「鬼ごっこ×野球~WASEDAであそぼう~」を実施した。

(写真:筆者撮影)大渕隆氏

「これまで僕たちは“野球離れ”を食い止めるために、小学生向けの野球教室を実施してきました。でも、今は野球が主語じゃない、社会全体が子供たちに“遊び場”を提供し、身体を動かす機会を作っていかなければならない。今年からそういう方向にシフトしたんです」

そう語るのは早稲田大学野球部OBで、北海道日本ハムファイターズGM補佐兼スカウト部長の大渕隆氏だ。OB会は2017年から、野球場を近隣の子供たちに開放し「野球あそび」を実施してきた。

【2023年1月16日15時30分追記】早稲田大学野球部OB会の活動を上記のように修正しました。

大人たちがああしろ、こうしろと言わない「遊び」

筆者はこの催しを以前から取材してきた。これまでは、朝、グラウンドにはボールやバット、グラブが置かれ、子供たちはそれらを手に取って、思い思いに野球遊びに興じる。実力、経験によってグループができ、ボールを投げたり打ったりする。その後「ならびっこベースボール」などの簡単な野球スタイルのゲームへと移行する。自由な「遊び」を入り口として、徐々に野球のゲームへの理解を促し「野球好き」にしていこう、という流れだった。

しかし、今回の早稲田の取り組みの内容はかなり変わった。そもそも「野球」を意識していない。朝、バットやボールを使って「遊び」をするのは同じだが、そのあとは「鬼ごっこ」へと移行する。大人目線でいきなり野球を始めさせるのではなく、子供たちが大好きな「鬼ごっこ」で体を思いきり動かすのだ。

(写真:筆者撮影)早稲田ナインと子供たち

早稲田大学野球部OB会は、一般社団法人鬼ごっこ協会の協力を仰いで、子供たちにさまざまな「鬼ごっこ」を体験させた。グラウンドにラインを引いて、そこに立ちはだかる「鬼」をかわしてラインを通過する。

子供たちは一気に駆け抜けたり、フェイントをかけたり、さまざまな手段で「鬼の関門」をすり抜けようとする。遊びの中で子供たちは野球のベースランニングや守備で見せるような体の動きをする。

「それでいいんだと思います。大人たちがああしろ、こうしろといって野球の動きを教えるのではなく、子供たちが遊びの中で意識せずにその動きを身に付けていく。昔はみんなそうだったんです」と大渕氏は語る。

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