ストーリーに逆境を盛り込む3つの効果
ストーリーに逆境を盛り込むことの効果は3つあります。
1つ目は、親近感を持ってもらえること。
櫻本氏のストーリーに、もし逆境が盛り込まれていなかったらどうでしょうか。要約すると「米国への留学を経て、京都大学に入学。卒業後は世界大手の外資系証券会社に勤務。その後、起業」です。「順風満帆な人生を過ごしてきた、完璧なエリートの姿」しか想像できません。「完璧な人物像」には、近寄り難い印象を持ってしまいます。ですが挫折や逆境を経ていることで、人間味が感じられて親しみが湧きます。
2つ目は、ストーリーがよりドラマティックになること。
ストーリーの面白さを生み出す要素として、「振れ幅」があります。「振れ幅」とは、いわば状態の変化の割合のことです。
「普通の生活」を0とし、「起業で成功した状態」を100とします。この場合、「振れ幅」は100です。一方、「睡眠障害を発症して、心療内科に通う状態」はマイナス100ともいえます。「起業で成功した状態」が100ですから、「振れ幅」は200です。「普通の状態」からの成功と比べると、「振れ幅」は2倍になっています。つまり、それだけドラマティックだということになるのです。
3つ目は、信頼性が増すこと。
カウンセリングを受ける人たちは、どのような人でしょうか。仕事で何らかの悩みを抱えているからこそ、カウンセリングを必要としているのです。創業者自身が「仕事のストレスが原因で心療内科に通う経験」をして、オンライン・カウンセリングの事業を立ち上げる。ストーリーの「原点」にある、真剣な想いが伝わります。
ここで大切なのは、「逆境であれば何でもいい」というわけではない点です。逆境と自分が手がけているビジネスが、しっかりと結びついていなくてはなりません。
「睡眠障害を発症して、心療内科に通う経験をした後に、美味しいラーメン店を開店した」と言われても、手がけているビジネスと逆境がすぐには結びつきません。あくまでも、逆境がビジネスを始めた「原点」になくてはならないのです。
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