私が会社員時代を振り返って、最も後悔していることがあります。それは、あまりに社内に敵を作り過ぎたということ。自分の「実績」に、確かに自負もありました。自分なりに「正論」を言った結果、意見の異なる人と対立したことが度々あります。そうした対立を、私は「あいつに負けないように頑張ろう」と自分を鼓舞するための手段としていました。
確かに対立によって、自分を鼓舞できた側面はありました。ですが、常に完璧な結果を出せるわけではありません。少しでも失敗したときには、対立相手は当然ですが反撃してきます。このような緊張関係を同じ職場で何年も続けることは建設的ではありません。
決定的な対立関係に陥らなければ、いつか相手が味方に転じる可能性も残すことができます。
今、自分自身が50歳近くになって周囲を見渡してみると、成果を出し続けて評価され続けている人で、かつての私のような「喧嘩をいとわない」スタイルの人は、ほとんどいません。「一流」と目されている人ほど、人間関係で対立を生み出さず、意見の異なる相手であっても敵対関係に陥ることはないと、この年齢になって痛感しています。あえて「敵をつくらない」ということは、重要な生存作戦なのです。
ストーリーの魅力をアップ③ 逆境を経験している
3つ目のテクニックは、「経験した逆境」を伝えるという方法です。自分と同じような逆境にあった人が、困難に立ち向かい、克服する。そんな主人公の姿に、多くの人が心を揺さぶられるのです。具体例をあげましょう。
cotree(コトリー)は、職場での人間関係や自分自身の将来に悩むビジネスパーソンに、オンラインでカウンセリングを提供しているベンチャー企業です。
創業から間もない頃から、多くのメディアで取り上げられてきました。創業者の櫻本真理氏のストーリーは、逆境を乗り越えた力強さを感じさせ、多くの人の共感を得られるものとなっています。
父の他界、海外での日本人へのいじめ、そして社会人になってから周囲のリストラや睡眠障害。櫻本氏は数々の逆境に立ち向かって、克服してきたのです。
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