このような罠を避けるのに役立つのが、「小さなストーリー」です。あえて物事を「簡潔に」そして「結論から書かずに」、ストーリーとして伝えるのです。
具体例を見ていきます。たとえば、上司から指示を受けたものの、その方向性がどうしてもよいとは思えないときに返信する場合です。
基本を守って「簡潔に」「結論から書いて」しまうと、このようになってしまいます。
●「簡潔に」「結論から書いた」場合
販売データを見ると、先月からお客様の動向が一変していました。ですので、これまでの方針を続けるのは逆効果です。別の案を採用すべきと考えます。
何卒、よろしくお願いします。
確かに結論はすぐわかりますし、簡潔でもあります。ですが簡潔な文章は、無味乾燥な印象を与えてしまいます。いきなり結論が「否定」から入るので、あとの文章を読むときには、すでに不機嫌になっています。
そこで、結論に至るまでの思いや考えを、ストーリー形式で伝えてみます。
●ストーリー形式で伝えた場合
本当に変化しているのか。私は社に戻って、改めてデータを整理してみました。すると、確かに販売動向に変化の兆しが見られたのです。
これらのデータを基に次の施策をどうすべきか、私なりに考えてみました。つきましては、今後どのような対応をとるべきか、ご相談のお時間をいただけないでしょうか。
何卒、よろしくお願いします。
多少、冗長に聞こえるかもしれません。ですが、現在の方針に疑問を持つに至った経緯はわかります。経緯がわかるので、「否定された側」にも受け止める余裕ができます。
取引先と距離を縮める時にも役に立つ
もうひとつ「小さなストーリー」の例を挙げます。取引先などとの距離を縮めたいときのメールです。
私は雑誌などで連載を持っています。その連載のひとつに広報PRの専門誌があります。有名番組の製作責任者がどのような思いと考えで番組をつくっているかを紹介する連載企画です。
取材の中で、各テレビ局の広報担当者とメールをやりとりするのですが、そのときの実例となります。
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