誰にも届かない「残念なプレスリリース」の特徴 自社と他社を差別化する為に必要な「3大工夫」

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文字数を費やせる場合は、ストーリーとして伝えることが強力な武器となります。たとえば、ある画期的な新製品を開発したとします。「画期的」と一言で済ませず、「画期的な製品の実現」に至った過程をストーリーとして、丁寧に描くのです。

例えば私がPRを手がけた、あるIT企業の場合です。この会社は上司と部下のコミュニケーションを円滑にするためのシステムを販売しています。

ITなどの技術は専門用語を使って説明してしまうと、一般にはなかなか理解できないものになってしまいます。そこで創業者のストーリーを打ち出すことで、創業者が開発に至った経緯をストーリーとして伝えることで、製品への信頼を得るのです。

私は新卒で入社した会社で、同期の中では最速ペースで管理職になりました。管理職就任に意気込むも、年齢、価値観など多様なメンバーとのコミュニケーションに失敗してしまいます。その結果、鬱病(うつびょう)で休職することに。 
かつての自分のような職場で孤独に戦う中間管理職を支援したい。そう思い、上司と部下のコミュニケーションを促進するための製品を開発したのです。

創業から間もない段階から、このIT企業はストーリーを打ち出すことで、年商数兆円の大企業などから多くの受注を獲得しています。

性能や品質という結果自体は同業他社と大して変わらなくても、そこに至るストーリーは同業他社とは異なるものです。ストーリーで伝えることで、自ずと他社とは違う「唯一の表現」にできるのです。

一瞬で効果を生む文章力アップのテクニック

ある巨大企業の、実際のプレスリリースを基に作った文章を例に見てみます。大企業のプレスリリースは社内からの指摘を恐れるあまり、細部の正確さを重視しすぎて、一般には「かなりわかりにくいもの」が少なくありません。

当社はこの度、データ活用に取り組むさまざまな事業者向けに、個人の同意に基づいたデータ流通をより安心・安全に実現する「個人情報管理サービス」を開発し、販売を開始します。本サービスを利用することで、個人の同意に基づいたデータの幅広い利活用により、時代やニーズの変化に応じた高付加価値サービスの提供やデジタルトランスフォーメーションの推進が可能になります。

この難解な文章を「わかりやすいもの」に変えるには、どうしたらよいでしょうか。最も簡単な方法は、ひとつの文章をできるだけ短くすること。専門用語を一般的な言葉に言い換えれば、さらに「わかりやすいもの」となります。

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