プロ野球「NPBと独立リーグ」収益源で決定的な差 観客動員を増やしスポンサー頼りを抜け出せるか

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2001年満員のセントポール・セインツ試合風景(写真提供:根鈴雄次)

野球指導者の根鈴雄次氏は2001年にセントポール・セインツに在籍したが、ミネアポリスにボストン・レッドソックスが遠征した際に、当時レッドソックスにいた野茂英雄に会うために、ミネアポリスのツインズ本拠地メトロドームに行った。根鈴氏は「ツインズ対レッドソックスはがらがらで、セインツはお客がぎっしり入っていたので驚いたよ」と言った。

セインツの本拠地は1万人ほど、ツインズのメトロドーム(当時)は4.6万人だから、実数ではツインズのほうが多いが「動員率」では、セインツのほうが勝っていたのだ。

セインツはお客を集めるためにいろいろなプロモーションをやった。

・ジャグジーで野球観戦
 ・ボールボーイならぬボールピッグの採用
 ・試合終了後にファンに「終球式」をさせる
 ・子供だけしか入場できない日を設ける(大人は外でバーベキュー)

など。またMLBのかつての有名選手も多く獲得してきた。

2020年、セインツは、ミネソタ・ツインズとアフィリエイト(提携)契約を結び、ツインズのマイナーリーグ球団となった。ツインズが傘下に収めたのは、セインツが経営的に優秀で、ツインズにとってメリットが大きいと判断したからだろう。

スポーツ興行の基本は「フルスタジアム」

日本の独立リーグとアメリカでは事情が大きく異なる。そのまま真似をすることができないだろうが、独立リーグでも「お客を一杯にし、経営的に成功することができる」事例として、学ぶことは多いのではないか?

年末に日本海オセアンリーグは「日本海リーグ(富山、石川)」「ベイサイドリーグ(千葉、神奈川)」に分裂すると発表された。独立リーグはまだ動いている。

しかしどんなに体制が変わっても、スポーツ興行の基本は「フルスタジアム(満員の観客席)」だ。来季も少しでも多い観客動員を目指して、各球団は努力してほしい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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