プロ野球「NPBと独立リーグ」収益源で決定的な差 観客動員を増やしスポンサー頼りを抜け出せるか

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北海道では、こうしたスキームとは一線を画する支援の形ができつつある。2020年に誕生した北海道ベースボールリーグ(HBL)は、リーグ運営方針の違いから分裂、2022年には北海道フロンティアリーグ(HFL)が並び立つ事態となった。

北海道フロンティアリーグの試合風景(写真:筆者撮影)

両リーグの交流戦は難しいと思われたが、2022年9月30日にHFLの士別サムライブレイズとHBLの富良野ブルーリッジの交流戦が行われた。仲介の労を取ったのは、両球団が管内にある北海道上川総合振興局だった。この事情を、環境生活課の井上香織課長は次のように語った。

「当振興局では、これまでもさまざまなスポーツ合宿の誘致を図り、地域振興に取り組んでいましたが、 HBLは地域を拠点とするスポーツチームに所属する選手がその地域に住み、働くことで、野球をはじめとしたスポーツ振興や地域活性化に資する取り組みであると聞き、その活動に注目するとともに、リーグや球団の皆様と管内のスポーツ振興に向けて連携を図っていくことができればと感じていました。

リーグが分かれた両球団の交流試合を管内で開催することは、管内のスポーツ振興に資するものになると考えて、9月30日の交流戦を企画させていただきました。当振興局としては、若い選手達が地域に住み、働くことで住民との交流が生まれ、地域振興・活性化が図られるとともに、 住民が地元球団を応援することで『地域愛』も育まれるのではないかと考えます」

スポンサー、行政の支援を受けて、独立リーグはNPBの100分の1という小さな所帯ながら存続しているが、リーグ、球団経営者も現状のままでよいとは思っていない。「プロスポーツ」を標榜するからには、やはりスタジアムを満杯にして、賑わい、活気を作らなければならない。十数年もやっていて、それができていないことに経営者たちは忸怩たる思いでいる。

アメリカの独立リーグの凄み

アメリカにはMLBに勝るとも劣らない観客動員を誇る独立リーグ球団が存在する。その代表がミネソタ州のセントポール・セインツだ。

ミネソタ州はアメリカ中西部、五大湖に面した人口570万人余の州。セントポールは州都で人口28万人。隣接するミネアポリスにはMLBのミネソタ・ツインズがある。勝てるはずがないと考えがちだが、セインズはユニークなプロモーションを次々と打ち出して、多くの観客を集めている。

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