「よろしかったでしょうか」に違和感なくなる未来 元々は過去形だと丁寧になるというニュアンス

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なんだかイラっとしてしまう人もいるでしょうが時とともに変化するかも(写真:JADE/PIXTA)
「田中様でございますね」」「鈴木部長が参られました」「この本、読まさせていただきます」「とんでもございません」
“がんばれば、がんばるほど”間違えてしまう敬語。意外と間違えて理解しているビジネスパーソンは意外と多いかもしれません。「話し言葉」と「書き言葉」のプロがまとめた『がんばらない敬語』から一部抜粋、再構成してお届けします。

「一生懸命」は「一所懸命」が正しい表現だった

言葉は生き物です。生きているのだから変化するのは当然のことで、今まで「間違っている」とされてきた使い方が、一般に広く認識されるようになり、のちに「正しい」と認められることも、よくあることです。

例えば「一生懸命」という言葉。もともとは「一所懸命(いっしょけんめい)」が正しい表現でした。でも今では「一生懸命(いっしょうけんめい)」も正しいとされています。むしろ今ではこちらのほうが、馴染みがあるかもしれませんね。

敬語も、もちろん生きています。以前は「間違い」とされていた使い方が、やがて認められて「その言い方でもOK」と認められる例は少なくありません。

「とんでもございません」も、その一例です。

「とんでもない」という、謙遜する言葉を丁寧に表現すると「とんでもございません」になる、と思っている人はきっと多いのではないでしょうか。しかし長年、「とんでもございません」は正しくない丁寧語の代表格。マナー講師などが格好の悪例として、新入社員研修やマナー研修などで槍玉に上げる言葉の代表格でした。

なぜ、長年「とんでもございません」が正しくないとされてきたのでしょうか。その理由は「とんでもない」の構造を紐解いてみれば明らかです。

「とんでもない」という言葉は、じつはこれだけでひとつの単語です。文法的に言うと「とんでもない」という一語の形容詞です。

「とんでも」+「ない」で成り立っている言葉のような気がしてしまうので、「ない」の部分を丁寧に表現して「とんでもありません」と言ったり、さらに丁寧に「とんでもございません」と言ったりしてしまう人が多いのでしょう。でも、よく考えてみてください。「とんでも」+「ない」という表現が存在するのであれば、反対の意味を表す言葉として「とんでもある」という言葉があってもいいはずですよね。でも、「とんでもある」という言葉は今のところ存在しません。

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