ご当地キャラクター自体は昭和の時代から存在しているところもありました。でも「ゆるキャラ」という言葉が生まれ、みうらさんによってコレクションされるようになってからその存在が大きくクローズアップされ、全国的に愛好者が激増しました。
「マイブーム」も「ゆるキャラ」も、言葉が誕生したからこそ、以前からあったものの存在感が大きくなっていった良い例だと思います。
このように「新しい言葉が生まれる」のは、決して言葉の乱れなどではありません。
「おいコラ!」の意外な語源
また、歴史を紐解いてみると「まさかその言葉の語源がソレ?」と驚いてしまうようなものもたくさんあります。
良い例が「おいコラ!」という言葉です。
「おいコラ!」という言葉を知らない人はおそらくいないと思いますが、この言葉で呼び止められて嬉しくなる人はいないでしょう。褒められているというよりは咎められている響きがあります。ちょうど警察官が、悪人を追いかけるときの言葉、というイメージです。
じつは「おいコラ!」というのは、鹿児島が発祥です。薩摩弁なのです。「もしもし」とか「ちょっとそこのあなた」というニュアンスでしょうか。でも「おいコラ!」と言われたら、無意識に身構えてしまいませんか?
薩摩弁の「ちょっとそこのあなた」が、なぜ、刑事ドラマで犯人を追いかけるときのセリフになってしまったのでしょうか。
そのヒントは、明治維新にあります。
明治維新でさまざまな組織が改変され、公務員として警察官という職業が制定されたときのこと。明治維新に際して大きな力を持った薩摩藩出身者が、この警察官という新しい職業に多く登用されました。
薩摩藩の出身者だから、警察官の多くが市民を呼び止める際に普通に薩摩弁で「おいコラ!」と声をかけていたのです。もちろん「ちょっとそこのあなた」という意味で。
でも、街の治安を維持する警察官は、当時の市民にとっては権力と同一視されています。そんな彼らが制服を着て大きな声で「おいコラ!」と声をかけるのですから、薩摩弁がわからない一般市民にとっては、まるで威張りくさった警察官に怒られているかのように感じてしまったのでしょう。
それが標準語として定着したことで、薩摩弁での本来の意味は薄れてしまい、悪人を呼び止める言葉として浸透していったのでしょう。
つまり、いまの「おいコラ」は、本来の「ちょっとそこのあなた」という意味とは違う、間違った使われ方をされています。でもこのことを「言葉の乱れ」と指摘する人はいませんね。
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