もし、あなたがその管理職だったらどう思いますか? モチベーションは大きく下がるでしょう。これでは、会社は成り立たなくなります。
経営陣も人事も、ちゃんとわかっている
そもそも、経営陣も人事部も、その管理職ひとりで成果なんか出せるわけがないことは、十二分にわかっています。だから組織を作っているのです。
管理職の中には、確かに「自分のところには仕事のできるスタッフがいない。近頃の若いのは使えない」と言い、自分がひとりで仕事をしているように言って回る人もいます。こういった管理職には、私は次のように返していました。
「そうですか。ほぼひとりで仕事ができるのであれば、今いらっしゃる部下を、全員とは言いませんが、8割くらい別の部門に移してもらっていいですか? ご存じのように、今、効率化推進の一環で人員削減プレッシャーが厳しいので。よろしくお願いします」と。するとその管理職は「いや、そういうわけではなくて……」となります。
繰り返しますが、会社は、管理職がひとりで仕事をしているなんて思っていないのです。部下をこき下ろすことで、管理職が自分の能力を上層部にアピールしているとしたら、それは逆効果です。その管理職は、それ以上の出世はないでしょう。部下がやるべき仕事をせっせとこなすような管理職は、評価されませんから。
上司を評価するとき、会社は当然のことながら、その部下もセットで評価します。もちろん、その部下全員が高い評価を受けるわけではありませんが、高い評価を受ける上司の下では、平均的に部下の評価も高くなるのは当然です。その部下の中で、特に高い評価をもらうのは、その上司を的確にサポートした部下なのです。
「できる部下」は、まず自部門が成果を出せるように尽力する。そのために上司を助けて働き、その成果で自分の上司が上層部から高い評価を受けることを、喜んでいます。これをゴマすりなどと言う人がいますが、大きな間違いです。上層部が管理職として任命した上司を助けて、何が悪いのでしょうか?
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