中には、他の表現を工夫してオリジナルの挨拶を書きたい人もいるかもしれません。語彙が豊富で、あらゆる表現に精通している人ならばそれもいいでしょう。でも、頑張って工夫をして、その結果、オリジナルの挨拶が相手にとって不快なものになってしまう可能性があるのならば、ここは無理せず、定番の挨拶をつかったほうが無難なのではないでしょうか。
そういえば以前60代の知人が、この「お世話になっております」が気に入らないと話していたことがありました。様々な取引先から「お世話になっております」で始まるメールが続々届くけれども、ワシはお前の世話などしていない! というのが彼の言い分です。
……いえいえ。あなたが直接世話をしていなくても、あなたの会社の誰かが相手の会社の誰かと関わって、お互いに世話になっているからこそ取引が成立しているんですよ。と、そのとき伝えたのですが、どれくらい理解してもらえたのでしょうか。
「お世話になっております」は紋切り型の定型文だと思う人もいるかもしれませんが、定型文にも根拠があります。そして、多くの人が長年使ってきている表現は、通用しやすいし、なにより、便利です。
「了解いたしました」は失礼?
ビジネスメールでのマナーや敬語について、次に多い質問も決まり文句についてです。
「『了解いたしました』は、失礼にあたるから使ってはいけないと聞いたことがあります。ではなんと言えばいいのでしょうか?」という質問です。
「了解いたしました」が失礼に当たるかどうか。これはたびたび、論争が起きる話題です。私はこれがなぜ「失礼だ」とされたのか、その事情を承知していません。調べてみたのですが、根拠の背景もよくわかりませんでした。
「『了解いたしました』」は別に失礼な言葉ではない」とする国語の専門家もいます。その説明によると「了解」は「わかる」の漢語表現で、この言葉自体に特に敬意のニュアンスは含まれていないため、「了解」だけだとたしかに失礼かもしれない。けれど、「いたしました」という丁寧かつへりくだった表現をつけた「了解いたしました」は、敬語として十分である、とのことです。
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