「了解いたしました」に不快感持つ人の意外な盲点 失礼?あくまで受け手の個人感覚だが模範解答も

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文法的や意味的に正しいとか正しくないとかを超えて、時として言葉は、個人の感覚によってニュアンスが変わってしまうものです。「了解いたしました」は、失礼な表現ではありません。でも、もしも上司や取引先の人、つまり、敬語を使わなければならない「外側の人」が「了解いたしました」を失礼だと感じる感覚を持っていることがわかったら、相手の感覚に寄り添い、言い方を変えてあげることが、相手に対しての敬意を表する行動といえるかもしれません。

では、肝心の言い換えです。「了解いたしました」と使いたいとき、つまり「わかりました」を丁寧な表現で使いたいときにはどうしたらいいでしょうか。その解答の第1候補はこれです。

「かしこまりました」

これで十分です。これなら、「わかりました」を丁寧に表現しているし、敬語として誤りではないし、多くのかたが失礼だとは感じない言い方です。

「承知いたしました」ではダメ?

「承知いたしました」ではダメですか? と訊かれることがあります。もちろん「承知いたしました」でもOKです。

ただ、ちょっと気になる点があります。「承知いたしました」は「了解いたしました」と同じ構造です。「承知」も、大雑把に言えば「わかる」の漢語表現で、この言葉自体に敬意のニュアンスはありません。「いたしました」をつけることによって敬語表現として成立しています。

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ですから「了解いたしました」をNGとする人が「承知いたしました」をOKとするかどうか、ちょっと微妙です。もし「了解いたしました」がNGで「承知いたしました」はOKとしている人がいるとしたら、その人の言葉の選択には根拠がなく、あくまで個人の感覚で判断しているのだな、ということがわかります。でも現実には、そういう人も案外多いものです。

そんな人に対しても「かしこまりました」ならおそらく大丈夫でしょう。「かしこまりました」はさまざまな言い方をカバーすることができます。

・わかりました
・OKです
・いいですよ
・内容を理解しました
・納得しました

などなど、さまざまな意味合いを「かしこまりました」というひと言で表現することができますし、「その言い方は失礼だ」と非難されることもありません。しかも幅広いニュアンスをカバーしているにも関わらず、意図を誤解されることもほとんどありません。安心して使える敬語です。

宮本 ゆみ子 株式会社ゴーズ・オン代表取締役、フリーアナウンサー

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みやもと ゆみこ / Yumiko Miyamoto

静岡県生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、FM石川にアナウンサーとして入社。その後、FM静岡、FM群馬などを経て、2009年から大手人材育成・研修会社にて新入社員向け研修(ビジネスマナー・コミュニケーション)に携わる。また書籍ライターとしても約30冊を上梓。現在、自らも週4本のレギュラー番組を担当するかたわら、登録アナウンサー200人を抱えるキャスティング事務所代表を務める。話し言葉・書き言葉のプロとして活躍中。

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