会話のペースを握る人が無意識にやっていること 相手にアクションが起こらなければ「伝えただけ」

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お客様を動員できない人は「カラオケいかがですか?」と声をかけます。すると、だいたい無視されます。

動員力のある人は、こう声をかけます。

「凄い盛り上がっていますね〜、このノリですと次はカラオケですかね?」と。

一緒に盛り上がるかのように声をかけます。お客様からは「違います」と返ってくることもありますが、結構な確率で「ええ」とか「まあ」と返ってきます。

続けて、こう言います。

アルバイト「飲み放題なんかついているといいですよね」

お客様「まあ」

アルバイト「割引なんかもあるといいですよね」

お客様「ええ」

アルバイト「待たずに入れたほうがいいですよね」

こうして、相手が考えなくてもいいように話を進めます。うまく話す必要はありません。相手が聞きたい言葉を投げかけて、自分が望む方向へと自然に相手を導く、こうやってペースを握っていくのです。

この手法はいたるところで展開されています。例えば、人気がある整体師の会話です。

「あれ、相当お疲れですね」

「よくここまで我慢しましたね」

「相当辛かったんじゃないですか」

こうお客さんに声をかけていきます。たいがいのお客様は「そうなんです。とても辛くて……」と言います。お客様としては、整体師に理解してもらえた気がしてうれしいのです。

そして、「背中だけじゃなくて、腰も鈍痛がしていて……」といろいろな悩みを打ち明け始めます。こうなれば整体師のペースです。

「この背中の痛みは実は首からきています。しっかり矯正しておきましたが、1週間くらいでもとに戻ります。また1週間後にきてください」

こう伝えると、お客様は大抵1週間後の予約を取ります。

次ページペースを握るのは相手を操作することではない
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