「教育」「勤労」「引退」という“大多数の人たちと同じコース”に沿って生きればなんとかなった時代は、もはや遠い過去。いまや、「誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか」について考えるフェーズとなっている――。
ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授であるリンダ・グラットン氏は、アンドリュー・スコットとの共著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(東洋経済新報社)にこうしたメッセージを込めた。それは多くの人々にインパクトを投げかけることとなり、「人生100年時代」というキーワードも広く浸透した。
だが、それを踏まえたうえでいま直視すべきは、時間の経過とさらなる社会の変化だ。なにしろ『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』が発売されたのは2016年、すなわち6年前のことなのである。
しかもその4年後に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が起こった。そのためすべてが一変し、これまでの“常識”はさらに無用なものとなった。
「新しい働き方」へ
だが、そんなタイミングで新刊『リデザイン・ワーク 新しい働き方』(リンダ・グラットン 著、池村千秋 訳、東洋経済新報社)を送り出してきたグラットン氏は、必ずしも現状を悲観的に見ているわけではない。
物事にはさまざまな見方・考え方があるわけで、むしろ悲観的にも見える現状をポジティブに受け止めようとしているのだ。
これは非常に共感できる考え方だ。いまある現実を受け入れ、「そこからどう進んでいくべきか」を考え、行動することこそが重要なのだから。
とはいえ、コロナ前の働き方をこれからも続けていけばいいというわけではない。それどころか、ケーススタディのたぐいはもう通用しない可能性のほうが高い。
そこで、まずは自分にとって最適な「これからの生き方」について考え、そこから地続きになっている「仕事のあり方」をリデザイン(再設計)し、仕事をより有意義で生産的なものにしていく必要があるのだ。しかもその働き方は、これまで以上に機敏で柔軟性の高いものでなければならないだろう。
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