「女性登用」「ダイバーシティー」など女性の社会進出が奨励されて久しい。一方で、その歩みは遅々としたものであり、女性だからこそぶつかる壁を感じる人はいまだ少なくない。
過去に大ベストセラー『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』で社会現象を巻き起こしたイギリスの経営学者リンダ・グラットンは、新著『リデザイン・ワーク 新しい働き方』の中で、「コロナ禍後、私たちは働き方の大転換に向けて大きな機運の中にいる」と述べている。しかし、グラットンが示すように「在宅勤務かオフィス勤務かという選択肢を与えられたとき、自宅で働くことを選ぶのは、幼い子どもを持つ母親であることが多い。……それに、在宅勤務をおこなう女性たちは昇進が低くなる」という側面は否めない。
そもそも、第1子出産後の就業継続率が50%あまりにとどまる日本で、育児休業からの復職率90%以上を実現している会社がある。従業員数3万人以上を抱える「楽天」である。本記事では、楽天の執行役員CMOを務める河野奈保氏に、「楽天が行っている施策」と「仕事と育児の両立」について語ってもらった。
仕事か育児かの二者択一ではない
──3年前に出産、コロナ禍で育児を経験されたそうですが、育児と仕事の両立について教えてください。
私は出産予定日1週間前まで勤務して、出産後は6週で会社に戻りました。ですから、産休のみで育休はとっていません。時短勤務もせずに復帰1日目からフルタイムです。
ただし、この働き方をお勧めしているわけではありません。
育児休業をとりたい方はゆっくり休んで子育てに専念されていいと思いますし、働きたい方は絶対的にそれを実現できるようにサポートを提供するべきだと思っています。つまり、選択肢の問題だと思うのです。
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