ここ数年、世界中で「働き方」変革がかつてないスピードで要求されてきた。それでも、まわりの企業がどう動くかを様子見し、後手に回ってしまう企業も少なくなかった。
過去に大ベストセラー『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』で社会現象を巻き起こしたイギリスの経営学者リンダ・グラットンは、新著『リデザイン・ワーク 新しい働き方』の中で、「コロナ禍後、私たちは働き方の大転換に向けて大きな機運の中にいる」と述べている。
そうした中で、日本でいち早く変化を捉え、変革を実行してきた企業が「楽天」である。従業員数3万人以上の企業が、なぜそれほど柔軟に変化を受け入れることができたのか。楽天の副社長執行役員CMOを務める河野奈保氏に、その理由を語ってもらった。
「出社」と「リモート」の心地よい割合
──コロナでの取り組みを教えてください。
2020年春に、楽天グループ全体で在宅ワークに踏み切りました。弊社は、もともと社外から企業内ネットに入る環境と、そのためのセキュリティーを構築しており、加えてペーパーレスの文化でしたから切り替えはスムーズにできました。
その後、2021年11月には「リターン・トゥ・オフィス」を掲げ、リモート重視から出社重視へと方針を転換しました。現状は週4日出社、1日リモートのハイブリッド型です。
──一般企業と比べて、かなり早い切り替えですね。
楽天グループは日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどにオフィスがあります。その社内ネットワークを生かして各国の感染状況や入国制限、濃厚接触基準などの情報を収集し、独自にデータを分析することができました。
政府や自治体、保健所の方針を参考にしつつ、最終的には自社の持つデータで判断できることは強みになったと思います。
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