また、社員とその家族のほか、パートナー企業、地域住民の方々のために職域接種を提供するなど、コロナに関するあらゆる状況も毎週経営陣と社員とで共有して判断してきました。
会話ができればいいわけではない
──オフィスへの出社を重視しているのはなぜですか?
リモートワークは顔を合わせたことがある社員同士となら、効率が上がっていいと思います。しかし、事業規模を拡大している楽天グループでは毎月のように社員が増えています。2年もこの働き方を続けると、顔を合わせたことがない人が出てきます。
社員たちは、社会貢献やイノベーションといったビジョンに賛同して入ってきます。そうした高い志を共有しつづけるためには、対面でコミュニケーションをとりながら働くことが必要だと考えています。
また、若い社員は一人暮らしが多く、話し相手がバーチャルの世界にしかいないという状態になると精神的に不安定になる状況にもつながりかねません。
楽天グループが出社を重視する理由として、社員の国籍が幅広いことも関係しています。グループ全体でも国籍が100を超えており、2012年から社内の公用語を英語にすることで、母国語ではないにしろお互いにコミュニケーションが可能にはなりました。
しかし、言葉だけが通じればよいという関係ではありません。同じ会社の中で同じビジョンを共有して働く以上、文化を理解し、感情を交わし、関係性を築くことが重要です。リモートではそれが難しい。
海外出身の人が日本で働くときに、日本の文化がわからず孤独ともなれば不安を抱くことは避けられません。楽天グループが求めるものを一緒に目指してもらうには、対面でのコミュニケーションが不可欠なのです。
──ウェルビーイングにつながるお考えですね。
当社ではウェルビーイングの推進のためにコロナ禍以前から創業メンバーをチーフ・ウェルビーイング・オフィサーという役職にすえ、グループ全体で取り組んできました。
みなさん、働く以上は社会貢献することを課題としていると思います。そのためには誰かに言われたからやるというモチベーションではなく、コミュニティーの一員として社会とつながっているという意識がとても重要です。
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