働き方の「効率重視」いよいよ見えてきた限界 楽天が「週4出社」「週1リモート」を選ぶ理由

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だからこそやりがいにつながり、多くの時間を仕事に費やす以上、生きがいにもなっていくでしょう。しかし、自由や効率だけを追求すると、このやりがい、生きがいが阻害されてしまうように感じます。

効率重視とは「目標を100%達成するためにどれだけ効率をよくするか」という話です。しかし、楽天グループが考える社会貢献の形は「100%以上のものを作り上げ、世の中を変えていく」ことです。

1人の力ではできないことをみんなで作り上げていく。その過程でもチームワークが重要です。

また、発想を生み出すためにもコミュニケーションは大切だと実感しています。

私自身、コロナのパンデミックが発生した初めの1年はリモートのみになり、効率がよくなったと感じていました。しかし、時間が経つにつれ、どんどんインプットが足りていないと感じるようになりました。

スキルはもちろん重要ですが、それは個人の中でしか積み上がっていきません。一方、近くの人とコミュニケーションをとることは化学反応を起こします。

人と会って話すことで新しい情報をインプットし、アウトプットが変化することがあるということです。

そういう意味でも週4日出社、1日リモートのハイブリッド型はバランスがいいのではないかと思っています。

迅速なルール作りが可能な組織

──出社日数などのルール作りの流れを教えてください。

当社では総務、人事、広報などで構成されるオペレーションディビジョンという組織の中に「新型コロナウイルス対策本部」を設置し、全体の状況をデータで把握しながら取りまとめていきました。

楽天グループの文化には誰かが何かを言うまで待つよりは、部署それぞれが動いて独自にルールを作り上げていくところがあります。リモートワークにしても、ずっと出社しなくてもいい部署もあれば、金融など個人情報を扱うために出社必須の部署もありますからね。

ですから、オペレーションディビジョンは単に社内の声を集めるだけではなく、提案があればそれに対するデータ分析を行い、ルール化をして経営陣に意見を求めるしくみになっています。

「これで行ける」となれば、翌日には全体にアナウンスされてスタートし、すぐにみんなが実行するという流れです。

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