元官僚の46歳社長が毎週「駐車場整理」する深い訳 社長にこそガンガン「現場の実務」させるべきだ

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きっかけは2020年。スキー場を営む私たちにとって、思い出したくもないくらいつらい時期でした。

この年は記録的な少雪コロナ禍が重なり、来場者数が急減してしまいました。売上は前年度の7割程度に落ち込み、過去10年で最も大きな赤字決算。2年連続でこの大赤字が続けば、スキー場としての存続も危ぶまれる状況です。

緊急事態と判断した私たちは、「大きく落ち込んだ前年度同様の売り上げで、しっかり利益の残る予算」を組むことを決意します。そのためには「やれることは何でもやる」。とにかく生き残りをかけて、徹底的にコスト構造を見直すことにしたのです。

出所:『スキー場は夏に儲けろ!』、マンガ:飛高翔

駐車場整理は経営陣の仕事

「やれることは何でも」の例の1つが、駐車場整理コストの削減でした。当社の財務担当取締役が、こんな「禁断のコメント」を言い出しました。

「駐車場整理に年間500万円くらい使っているけど、これ、俺らがやればタダじゃない?」

「駐車場整理が本当に必要になるのは週末だけ。その日は基本的にはデスクワークや会議はないし、なんとかなるんじゃない」

財務担当取締役自らがやると言うのであれば、断れるはずもありません。

結局、土日祝日は仕事が少なくなる私たちが、必要なタイミングで駐車場整理に入ることとしました。言い出しっぺの財務担当取締役と私(社長)は、ほぼ毎週末、朝から駐車場整理をするようになっています。

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