裾野・保育園1歳児「虐待」あまりに酷い5つの問題 15例の不適切行動の背景には一体何があるのか
ところが園長は「僕が聞いたのは8月1日」とコメントしていました。通報の16日も前に実態を知っていたことになり、「放置していた」と言われても仕方がないでしょう。その間も被害が増えていて、もし通報がなければ現在も……という危険性は否定できないのです。
しかも不適切な行為は、1歳児クラスを担当している30~40代の女性保育士によるものであり、その割合は6人中3人の半数。正規1人、臨時1人、派遣1人と報じられており、同僚が止めるどころか「それくらいはやってもいい」というムードすら感じさせます。
他の保育士たちは本当に気づかなかったのか。見て見ぬフリをしていたのではないか。現段階では、その疑いが晴れるような説明がありません。他クラスの保護者たちも、「これほどの酷い行為に気づかない園や保育士たちに子どもを預けていいのか」と悩んでいるのではないでしょうか。
2つ目の問題点は、把握から保護者説明会や世間への公表まで約4カ月間もかかったこと。前述したように園長は8月1日に事態を聞き、裾野市も同17日に通報を受け、同22日には把握していました。
さらに同25日に15の事例が書かれた報告書を同園から受け取っていたこと、9月9日に保育士たちの処分が決まったこと、同21日に1人の保育士が処分を不服としていることを裾野市と同園が協議したことなどが明かされていますが、それ以降は最初の保護者説明会が行われるまでの約2カ月間、何も動いていなかったことになります。
この間、世間への公表や静岡県への報告はなく、ようやく裾野市が動いたことで同園は保護者説明会の実施を決定。被害者救済や危機管理に対する意識の薄さを感じさせますし、それ以上に保身や隠蔽を疑ってしまいます。
対応の遅さと無責任さによって、この間に心身が不調に陥った園児がいるかもしれませんし、決して許されることではないでしょう。
被害園児は不明、加害保育士は現れず
3つ目の問題点は、被害園児の名前がわからないこと。保護者説明会では、被害を受けた「具体的な子までは把握していない」と明かしていましたが、裏を返せば「1歳児クラスの20人あまり全員が虐待を受けていた」とみなすこともできます。
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