裾野・保育園1歳児「虐待」あまりに酷い5つの問題 15例の不適切行動の背景には一体何があるのか

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これまで問題が起きるたびに声があがっていたのは、保育現場の可視化。しかし、「監視カメラを取り付けて事件や事故から園児を守ろう」という意見があがるものの、「現場からネガティブな反応が出て進まない」という現実がありました。つまり、「監視カメラがある中で働くのは抵抗がある」ということでしょう。

ただ、監視カメラは街頭カメラやドライブレコーダーなどと同じで、常に誰でも見られるものではなく、「何らかのトラブル時のみに見るものとする」などの落としどころも考えられます。また、監視カメラによって守られるのは園児だけではなく、保育士も同様。健全な保育環境であることをアピールできるとともに、何らかの事故が起きたときに保育士を守る証拠映像にもなりえるものです。

性善説だけで済ませてはいけない

振り返ると今年9月、同じ静岡県の認定こども園で園児のバス置き去り事件がありましたが、そのときも監視カメラの必要性が叫ばれていました。セーフティファーストの観点であれば、そろそろ動かなければいけない時期なのかもしれません。

そのうえで子どもを預けている保護者たちも、できる限りの自衛策を講じたほうがいいでしょう。たとえば、子どもを預けるときと迎えのときに、表情や体をよく観察しておく。あるいは、「行きたくない」と言ったときに突き放さず、しっかり話を聞く。さらに、クラスを越えて保護者同士のつながりを持ち、情報を共有するなどは今すぐできる対策の1つです。

もちろん日本全国の保育園と、そこに務める保育士は適切な保育をしているので、必要以上に疑うことは園児たちにとって逆効果になりかねず注意が必要でしょう。それでもリスクがゼロではない限り、子どもたちを守るためには、「性善説だけで済ませてはいけない」ことも確かではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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