産後1カ月の女性に訪れた予想外の「大ピンチ」 メンタルは強いと思っていたのに涙があふれた
1カ月健診では、身長、体重、頭囲、胸囲の測定や、視覚、聴覚、首のすわりの確認、原始反射と呼ばれる、吸い付く反応や手をにぎる反応があるかどうかなど、生後1カ月の基準に達しているかどうかを調べていく。
すべての検査を終えて先生が一言、こう言った。「うん、とっても順調です。お母さんよく頑張ってるね」。その言葉を聞いた瞬間、私は人目もはばからず、声をあげて泣いた。長く水中につけていた顔を久しぶりに水面に出し、やっと呼吸ができたような、そんな心地だった。
この1カ月間の私にとって育児とは「授乳しておむつ替えてあやして授乳しておむつ替えてあやして」と、子の仰せのままに同じことを繰り返す、修行のような時間を耐え忍ぶものになっていた。だけどすべては、息子を健康で、大きく、幸せにするためだったのだ。なんのために必死で子どもを泣き止ませようとしていたか、その目的をすっかり忘れてしまっていた。あの、泣き声を浴びながら懸命に抱き続けた夜を超えた先に、ひと回り大きくなった我が子がいたのだ。
「いいお母さん」かはわからないけれど
この文章を書いている今、息子は生後8カ月になり、本当によく笑うようになった。手足をバタバタ動かしたり、部屋の端まで寝返りでコロコロと転がっていったり、お気に入りの絵本を読んでもらっては喜んだりしている。
私はというと、もうマタニティブルーのどん底からはすっかり浮上し、たいていのことは「まぁ、なんとかなるっしょ」と笑い飛ばせる、元の私に戻った。いまだに、私がいいお母さんをやれているかどうかはわからない。でも今、息子が元気に過ごせているのは、あのとき薄暗い部屋で辛抱強く息子を抱き、子守唄を歌い、体を揺らし続けた、私のおかげに他ならない。
もしもタイムスリップできるなら、誰にも見られないよう涙を流す私を抱きしめて、「あなたのおかげで、息子は今とっても幸せそうだよ」と伝えてあげたい。
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