産後1カ月の女性に訪れた予想外の「大ピンチ」 メンタルは強いと思っていたのに涙があふれた
睡眠不足に加えてホルモンバランスもぐらぐらになっている私は喜怒哀楽のボリューム装置がぶっ壊れており、怒りに任せて返信した。文字を打つ親指からは炎が出ているようだった。「そんなの、数年後にあのときは楽だったねって振り返ればいいじゃん! 今私が毎日やってることは楽だって言いたいの!?」
すると夫は困惑した様子で「事前に認識共有したかっただけです、すみません」と謝罪してくれたのだが、私の怒りはおさまらない。ここまで蓋をしてきた想いが、決壊して一気にあふれてきた。「ここ数日、朝までまともに寝られなくてもう死んじゃいそうとすら思って『産後うつ』で検索したりしてるんだよ、私」。
そのメッセージが既読になると、夫はすぐに返事をよこしてきた。
「産後うつで検索したって何?」。時間を空けず、メッセージが続けて届く。「サポートを受けるために実家にいるのになんでそんなにつらいの? なんで俺もお母さんも助ける気満々なのに、誰にも助けを求めずに1人で産後うつになろうとしてんの? 誰からの援助もなくてうつになるのと、今のあなたの状況じゃ話が違うでしょ。助けてくれる人がいるんだから、素直に頼りなよ」。
たしかに。
目の前がチカチカするほどの怒りが、一気に引いていくのを感じた。なんで、私は1人でつらくなってるんだ? 頼れば手を貸してくれる両親と、協力的な夫がいるのに。メンタルで悩んだことなどなかった私には、こんなに自分がクヨクヨするだなんて考えられなかった。睡眠不足とホルモンバランスの乱れは、人の思考をここまで変えるのか。
母があやすと息子が泣き止んだ
結局この日も、息子は朝まで寝なかった。泣き止まない息子を抱えて途方に暮れていると、トントントン、と2階から母が下りてくる足音がする。私が相当やつれた顔をしていたのか、「抱っこするから寝なよ」と言ってくれて、息子を私の腕から引き取った。
すると、母が抱いた瞬間、息子がピタリと泣き止んだ。あろうことか、新生児微笑と呼ばれる、新生児特有の笑顔に見える反射的な筋肉の動きまで見せていて「あ、笑ってるね、かわいいね」と母は嬉しそうにしている。
それを見て私は、涙が止まらなくなってしまった。嬉しそうにしている母には顔を見せないよう、布団にもぐりこんで、声を殺して泣いた。鼻をすする音が聞こえるといけないから、鼻水はダラダラと流れっぱなしになる。
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