近江商人「三方よし」が今、「世界最先端の経営」な訳 パタゴニア、テスラなど6つの企業に共通3要素

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近江商人の商売哲学「売り手よし、買い手よし、世間よし」が現代の経営に不可欠なものとなっています(写真:HIDE/PIXTA)
「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」とも称される世界的な経営学者、フィリップ・コトラー氏。そのコトラー氏は今、「H2H(ヒューマン・トゥ・ヒューマン)マーケティング」、すなわち人間を中核に据えた、人間主体のマーケティングを提唱しています。それはなぜなのか。また「H2Hマーケティング」とはどういうものなのか。

その本質は「デジタル時代の三方よし」と話すのが立命館大学ビジネススクールの鳥山正博教授です。
コトラー氏らの著書『コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践』の監訳・解説を担当した鳥山教授が、今回(全3回の第2回、第1回はこちら)は具体的な事例を解説します。

今回は、H2Hの直観的理解のため、古今東西の事例を挙げ、それをH2Hのキーワードで読み解いてみたい。

H2Hのフレームワークの肝は、H2Hマインドセットである。H2Hマインドセットとは、

①人間中心(自分の行動や思考が他の人にも有意義であることを内面化)
②サービス志向性(協働性・統合性・A2A的)
③アジャイル(俊敏性と実験主義)

である。①の「人間中心」は「売り上げ利益中心」の逆、すなわち「何らかの善き目的のために」であると考えればよい。

さて、この3つが何を強調しているかをわかりやすくするため、すべてを逆さにしてみよう。その結果は「売上・利益目標実現のために自社の総力を結集して競争に勝つ。勝つためにはしっかりと計画を立て、あとは実行するのみ!」である。これはまさに従来型企業のマインドセットであり、H2Hマーケティングはまさにこれを否定しようとしているのである。

世界のオーガニック食品のトレンドを作った企業

ホールフーズ・マーケット

『コトラーのH2Hマーケティング』でも、けっこうなページを割いて紹介されていた代表的なH2H企業、ホールフーズ・マーケットは、テキサス州オースティンを本拠地とするアメリカのオーガニック・自然食品の品ぞろえを特徴とするグルメスーパーチェーンである。1980年にジョン・マッキーが創業し、今では約500店舗を展開、2017年にアマゾンに買収された。

世界のオーガニック食品市場はこれまで10年間で倍増、今後2030年までは年平均14.8%の成長といわれている。世界のオーガニック市場の43%はアメリカであり、その成長を担ってきた企業がホールフーズ・マーケットである。つまり、世界のオーガニック食品のトレンドを作ってきた企業と言っても過言ではない。

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