近江商人「三方よし」が今、「世界最先端の経営」な訳 パタゴニア、テスラなど6つの企業に共通3要素

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
星野リゾート

概要についてはもはや日本の読者にあらためて紹介することもないので、H2Hマインドセットが星野リゾートの活動のどの側面に現れているかを見ていきたい。

まず、星野リゾートの魅力となっているのは各施設が提供する体験プログラムであることに異論はないだろう。その先駆けは創業当初からやっている野鳥観察プログラムのピッキオである。

各リゾートには上級者限定の滑走、雲海テラス、ねぶた、グランピング、Go近所ツアー、等のユニークなその施設ならではの体験プログラムがある。まず、これはS-DL(サービスドミナントロジック)的な価値の生み方である。いくらで取引されているかが価値なのではなく提供側と顧客がどう体験を共創して満足や感動を与えているかが価値なのであり、それを繰り返すことでブランドを形成するのだ。

また、これらは従業員発で、各施設でローカルに開発されたものであるため、その開発プロセスはまさにデザイン思考でありアジャイルである。

マインドセットの側面を見るとH2H的

星野リゾートは2000年ごろから「リゾート運営の達人」を標榜し、その具体的な尺度として顧客満足度と利益率とエコポイントの3つが並び立つようにできるのが達人であるという価値尺度をマネジメントの中心に置いている。当時から地熱発電や水力発電など地球環境問題への積極的な取り組みをしてきているのも時代に先駆けている。

こうして見るとH2Hマインドセットの①人間中心(自分の行動や思考が他の人にも有意義であることを内面化)、②サービス志向性(協働性・統合性・A2A的)、③アジャイル(俊敏性と実験主義)のすべてがまさに当てはまる企業である。

戦略的な強みの源泉はもちろん、従業員の多能工化やマネジャーの立候補制など他社が真似しにくいさまざまな策にあるが、マインドセットの側面を見ると極めてH2H的である。

次ページ現地に溶け込むことで世界化を果たしたYKK
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事