近江商人「三方よし」が今、「世界最先端の経営」な訳 パタゴニア、テスラなど6つの企業に共通3要素

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パタゴニア

イヴォン・シュイナード氏が1973年にアメリカ・カリフォルニア州で立ち上げた、アウトドアのウェアや用品を取り扱うブランドである。明確な思想を掲げているため、消費者の中で好き嫌いが大きく分かれながらも、アメリカをはじめ世界中で熱狂的なファンを集めている。

どの辺がH2H的なのか。そもそも創業時から環境理念中心の会社で、作る製品も環境に優しくクライミングの方法も元の岩をピトンで傷つけない「クリーンクライミング」を提唱・推進し普及させるなど、クライマーのニーズに応えるのではなく、環境中心に消費者の行動を変容させる会社である。

1991年には「最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」と環境中心の会社であることを内外に明示したが、2019年にそれを「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と改定したのである。

焦点を「How」から「Why」にシフト

「どのような方法で環境問題に立ち向かうか?」、すなわちHowが主役だったものが、2019年版では「何のために自分たちが存在しているのか?」という、Whyへと大きく焦点をシフトした。マインドセットがこの企業を牽引しているといえる。

とりわけ「自分の行動や思考が他の人にも有意義であることを内面化」しているという点で、H2Hマインドセットの①人間中心がずば抜けて強いパーパスドリブンな会社であるといえるだろう。従業員は善き目的のために働いていると感じることが何より重要になってきている。

これまではホールフーズやパタゴニアのようなパーパスドリブンな企業はどちらかといえば例外的だったのが、ここにきて、パーパスドリブンこそが企業のあるべき姿であるといわれるまでに変わってきた。

Howが差を生み出したのがマーケティング1.0の大量生産時代、Whatの差が重要だったのがマーケティング2.0の時代を経て、Whyが重要な時代になってきたのだ。Howの仕事の多くとWhatの仕事の一部はAIによってかなり代替可能となったので、人間にしかできないWhyの部分がより重要になっているのだ。

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