近江商人「三方よし」が今、「世界最先端の経営」な訳 パタゴニア、テスラなど6つの企業に共通3要素

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フリックスバス

日本に上陸していないので、あまりなじみがないと思われるが、最近ヨーロッパに行った人ならば黄緑色の派手な車体のバスを目にしたことがあるだろう。

同社は2013年にドイツで創業、欧州の伝統的な移動手段たる長距離バスに、テクノロジーとeコマースを組み合わせて成長した。自社バスを持たずに地元のバス会社と提携し、路線決定やブランディング、マーケティング、チケット販売などの運営を行うビジネスモデルを築いた。

顧客満足度や問い合わせなどのデータを重視し、低価格と車内Wi-Fi、座席電源、広い足元スペース、バスの現在地のGPS検索などを売りに急速に欧州全体へ市場を広げてきた。いわば長距離バスのプラットフォームであり、独自の価格決定アルゴリズムとルート決定アルゴリズムが価値を生んでいるといえる。

バス業界に新しいレイヤーを加えた

フリックスバスのイノベーションは、得てしてローカルでマーケティングマインドの低かったバス業界に新しいレイヤーを加えたことである。いわばマーケティングレイヤーとオペレーションレイヤーに分離して、マーケティングレイヤーの巨大プレイヤーとなったのだ。

ウーバーにおける素人ドライバーに相当するのが地元バス業者ともいえる。あるいは街の小売業をFCで束ね、弁当工場から物流までコントロールするようになって成長したセブン-イレブン・ジャパンとも似ている。

さて、フリックスバスのどの辺がH2Hマインドセット的なのか。

これは圧倒的に②サービス志向性(協働性・統合性・A2A的)であろう。地元のバス事業者との協働こそが本質であり、このサービスの統合者としての地位、まさにA2A(アクター・トゥ・アクター)のイノベーションを起こしたのである。

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