「私自身も現役のころは『長期的な視点』を持てませんでした。実は現役のころは病みやすくて『パニック障害』になってしまったこともあって。だから今、そういうツイートをしている現役の子たちの気持ちは本当によくわかります」
そう、平松自身も現役時代、さまざまなプレッシャーやストレスから「パニック障害」となり、戦っていたのだ。インタビュー時には、具体的な時期についての明言こそ避けたものの、「これまで背負っていた何か」から解放されたかのような表情を浮かべる。
病気そのものに関しては2020年6月に自身のブログでカミングアウトしているが、そこでは具体的な病名は伏せられていた。改めて、病名を明らかにすることで、今回のツイートに対する強い意志が見て取れた。
同情で得たお客さんは、長続きしない
そしてネガティブなツイートをしてしまう現役アイドルに、当時の自分自身を投影するかのように続ける。
「その子にとっては『現場に来てもらおう』と引きつける意図があっても、ネガティブな発言はするべきではないと考えています」
「同情で得たお客さんは、長続きしない」のだと断言する。
「今日はファンの人が1人もいなかった」
など現場にファンが来ないことを訴える一連のツイート。さらに重ねて「推しは推せる時に推せだよ!」と来ないファンへのアピール。
こういった内容のツイートは、そのアイドルからしたら「SOS」かもしれない。だが平松に言わせれば「現場に行っていないけれど応援している人が読んだ時に、『人気がない子なんだ』という印象を植え付けてしまう」という。
こういったツイートは後で消したとしても、一度目に入ったら「この子、焦ってるんだな、人気ないんだな」と思われる可能性が高くなる。そして一度ついたそのイメージはずっと付きまとってしまうものだ。
その後、前向きな発言をしたとしても、熱心に現場で応援し、推し続けているファンにとっては「推しの焦りツイート」はとても傷つくものであり、自らの推しへの応援や愛情の力不足だと感じさせてしまうこととなる。
そしてそれは、俗に「ヲタクが他界する」、つまりは「応援をやめるきっかけ」となってしまう。「推すのに疲れた」といったツイートが散見されるようになるのも、このようなツイートがきっかけになることも多々あるということだ。
だからこそ、平松はネガティブツイートは第三者にまで自分が価値がないように印象づけてしまう「マイナスブランディング」だからやめるように警鐘を鳴らしている。
当然、長期的に見ても、自身のブランディングが重要になる「地下アイドル」でこのような発言は致命傷になりかねないと分析している。
これら一連のメッセージは平松自身が「メジャー」と「地下」の現役時代に経験したさまざまな苦悩から導き出されたひとつの答えなのだ。そしてそれらは「この経験をいつか後輩に伝えよう」と現役時代から平松のノートに書き留められていた。
現在、平松がプロデュースするファッションブランドの展示会やDMなどで、現役アイドルから相談される機会も多々あるという。自身も同じ立場で病んできた経験があるからこそ、今まさに、苦しむアイドルたちに寄り添えるのだ。
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