有料会員限定

認知症介護で注目される「ユマニチュード」の効果 ポイントは良好な関係構築と力を奪わないこと

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

相手を尊重する介護技法、「ユマニチュード」に注目が集まっている。その中身とは。

介護のイメージ写真。高齢女性の手を握る笑顔の介護士
(写真:kou / PIXTA)

特集「認知症 全対策」の他の記事を読む

認知症介護の手法としてフランス発の介護技法、「ユマニチュード」に注目が集まっている。

人間として尊重するケア

ユマニチュードとは「介護を受ける当事者を人間として尊重するケアの手法」のこと。認知症介護は意思疎通が難しく、精神的な負担が大きいが、ユマニチュードを用いることでケアをすんなり受け入れてくれるようになった、という声が多い。

週刊東洋経済 2022年12/3特大号[雑誌](認知症 全対策)
『週刊東洋経済 2022年12/3特大号[雑誌](認知症 全対策)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

日本ユマニチュード学会の本田美和子代表理事は「ユマニチュードは、介護を受けるあなたを大切に思っているという気持ちを本人が理解できる形で表現することで、ケアを受け入れてもらいやすくできる」と語る。

ユマニチュードのポイントは2つ。1つ目が相手とよい関係を結ぶこと、2つ目が当事者の持つ力を奪わないことだ。

そしてその2つを実践するに当たり、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの技術が柱となる。これらは認知機能が低下している当事者の特性を理解したうえで組み立てられている。

「見る」で重要なのが、当事者の知覚範囲である正面から、近くで目を見て話しかけること。

「話す」際も相手が聞き取りやすい声で、なるべく多く前向きな内容を話す。

「触れる」でいちばん重要になるのが、つかまないこと。なるべく広い範囲を下から支えるように触る。認知症の人でなくとも、自分の意図しないところから突然話しかけられたり、急に腕をつかまれたりすれば、安心感は得られない。

次ページ4つの技術を用いる手順も重要視される
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
認知症 全対策
最終段階の臨床試験で抑制効果確認、23年申請へ
ポイントは良好な関係構築と力を奪わないこと
認知症対策の要は「10年前との違い」に気づくこと
発症の仕組みから診断方法まで専門医が回答
大ヒット作『認知症世界の歩き方』著者に聞く
遠距離介護でも罪悪感を抱かないでほしい
認知機能が低下する前に手を打つことが重要
介護費用を5パターンでシミュレーション
横領に移動制限、トラブルにどう対処するか
相続対策と資産凍結対策を兼ねる家族信託とは
100万円単位の診断一時金を出すタイプが主流
知識や理解だけでは乗り切れない介護の現実
介護拒否や物盗られ妄想、どう対応するべきか
高齢者の見守りに、最新家電を手軽に活用
悪徳施設を避けるには「安・近・短」に要注意
リハビリだけじゃない、症状進行の抑制効果も
認知症者が住みやすい社会へ、官民連携を推進
40代で「認知症」を発症、絶望から救った出会い
少人数開催の「小さなカフェ」が成功例に
治療法から生活支援まで急速に研究が進む
薬が本当に必要か、チェックする姿勢が重要
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内