物盗られ妄想や介護拒否など認知症介護特有の困りごとは多い。認知症を理解した対応ができれば、介護者の困りごとが解決するだけでなく、症状の進行を抑制することにもつながる。専門家に介護のお悩みの対処法を聞いた。
家族が認知症になると、それまでとは別人になったかのような症状がいろいろと表れる。意思疎通がスムーズに図れない、急に怒り出すなど身近な家族の心理的負担は大きい。
脳の病気ゆえ表面的には原因がわからず、理解が及ばないことも心労の一因だ。しかし認知症の人は自身の症状に苦しみ、不安を感じているからこそこうした不可解な行動をとってしまう。
週刊東洋経済 2022年12月3日号(11月28日発売)は「認知症 全対策」を特集。介護から予防、費用、相続まで認知症のあらゆる対策を網羅する。
認知症の人の介護拒否や暴言などは、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれ、周囲の無理解な態度など二次的な要因で引き起こされることを知っておきたい。認知症を理解した対応が、家族の困りごとを解決するだけでなく認知症の進行抑制にもつながるのだ。認知症介護に詳しい浜松医科大学臨床看護学講座の鈴木みずえ教授のアドバイスを基に、多くの人に表れる症状への対処法をまとめた。
できるだけ行動を制限しないことが基本
A 出先で帰り道がわからなくなり行方不明になる認知症の人の数は毎年増加しており、今や大きな社会問題にもなっている。外に出る理由は散歩などの合理的な目的だけでなく、かつて勤めた会社に行く、すでに成人した子どもを迎えに行くなどさまざまだ。認知症の影響で現実の時間軸に合わない行動をとる場合もあるため「徘徊」などと呼ばれる。
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