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エーザイの認知症薬候補「レカネマブ」の期待値 最終段階の臨床試験で抑制効果確認、23年申請へ

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エーザイが共同開発中のアルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」。その効果とは?

エーザイ本社での会見の様子
9月28日、東京・小石川のエーザイ本社での会見の様子(写真:記者撮影)

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9月末、エーザイは米バイオジェンと共同開発中のアルツハイマー型認知症(AD)薬「レカネマブ」について最終段階の臨床試験(治験)で「症状悪化の抑制効果を確認した」と発表した。

2023年3月までに申請予定

レカネマブは、認知症の原因とされるタンパク質「アミロイドβ(Aβ)」を脳内から除去する薬で、症状悪化の速度を遅くする。

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認知症の手前の状態である軽度認知障害(MCI)と、軽症のAD患者を対象とした今回の治験結果から、重症度を評価するスコアが1段階進むまでの期間を少なくとも約1年半遅らせることが期待されている。エーザイは米国で迅速承認制度を利用して申請しており、早ければ1月頭に結果が出る見通し。国内や欧州でも、2023年3月までに申請予定だ。

認知症薬は脳内のタンパク質であるAβを原因とする仮説に基づいた研究が進んできたが、この20年失敗続きだった。東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授は、「その中で良好な治験結果が出た意義は大きい」と話す。

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