私の過去をふり返って「あのときフリースクールに通ったからこそ、現在元気に働くことができている」と、しみじみ思います。これは私のケースに限ったことではなく、不登校になった子どもの多くにも言えることです。
つまり、「心のケア」がなされるのが早ければ早いほど、子どもも早く前向きになっていき、力強く生きていくことができるようになるのです。
とても残念なことに、私はその真逆のケースも見てきています。子ども時代に「自尊感情」をこれでもかというほどにたたきつぶされてしまって、その後のいわゆる社会復帰が遠のいてしまう人も中にはいます。けっして読者の方をおどしたいわけではなく、事実としてお伝えしたいのです。
あとでくわしく説明しますが、「学力」という、不登校の子どもをかかえる親がいちばん心配する子どもの能力も、心の回復しだいという側面が非常に強いです。
小学校低学年のときに不登校になり、フリースクールに通い始めた結果、小学校高学年には中学生で習う連立方程式を解けるようになったという子どももいます。この子は、フリースクール時代、1日にあまり勉強の時間をとっていなかったのにもかかわらず、算数が好きで、連立方程式まで解けるようになってしまいました。こうした子どもの例は特別ではありません。
フリースクールは「子どもの心のケア」に特化した施設です。フリースクールで勤務するスタッフは、不登校の子どもへの対応の仕方を熟知していますし、いろんなタイプの子どもを見てきています。まずは、「学校に絶対に通わせなければいけない」という考え方を頭の中からはずしてください。心のケアが適切になされた子どもの多くは、高校に進学したり、在籍していた小中学校に復学したりします。
スクールカウンセラーなどへの相談も一つの手
ただ、「学校」や「教育委員会」といった公の機関に、不登校の子どものケアに特化したところがないのが現状です。
おすすめしたいのは、子どもの心理にくわしいスクールカウンセラーやソーシャルワーカーといった専門家への相談です。地域内のフリースクールや、そこに通っている子どもの例から実用的なアドバイスをもらえることがあるほか、次にあげる4つの兆候のように、子どもが学校に行けずに苦しんでいる状況を理解してくれることも大きなポイントです。
まず、子どもが学校に行こうとすると、体調が悪くなったり、持病が悪化したりする例です。「学校に行こうとすると、玄関で立ち止まってしまう」ことも体調不良の1つに分類されます。
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