不登校児は「過去最高の19万人超」の複雑な理由 強まる同調圧力、いびつな環境で子は生きてる

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不登校の子どもがこれだけ増えている背景を考えてみましょう(写真:buritora/PIXTA)
2020年度、小中学校に通う不登校児童生徒数は約19万6000人で、過去最高を記録しました。不登校の主な定義は、文部科学省にのっとると、「年間30日以上登校できなかった児童生徒」のことをさします。現在、コロナ禍によるライフスタイルの変化や、感染症対策による行事や部活動の制限などにより、子どもたちは多大ながまんをしいられています。
中学2年生のときの不登校経験をきっかけにフリースクールに通い、20年以上、不登校をテーマに取材執筆活動をつづけてきた不登校新聞編集長・石井志昂さんの新著『フリースクールを考えたら最初に読む本』より一部抜粋し再構成のうえ、いったいなぜ不登校の子どもが増え続けているのかお届けします。

なぜ、不登校の子どもが増え続けているのか?

フリースクールとは何かを説明する前に、そもそも、不登校の子どもがこれだけ増えている背景を考えてみましょう。

いじめや学業不振などが不登校の理由にあげられるのですが、私が20年間不登校問題を取材してきて感じるのは、近年、「不登校」が、認知されてきたことです。

不登校の子ども自体は、文科省が統計をとり始めた1966年以前も存在していたのですが、不登校の子どもの多くが、無理やり学校に連れていかれていました。私が不登校をしていた25年前も同様です。強制的に学校に連れていかれ、体調がどんどん悪くなってしまった子どももいました。

つまり、近年不登校の子どもの数が増えているのは、「このまま学校に行かせてしまうと、もっとひどいことになる」という認識が、学校や家庭の間で広がったことが理由としてあげられます。そうした認識の広がり自体は、私はポジティブな変化だと思うので歓迎しています。

不登校児が増加しているもう1つの理由は、「学校が息苦しい場所になってきている」ことです。もちろん通っている学校や担任の先生によって程度は異なりますが、年々学校の規範意識が強くなってきているように感じます。

例えば「チャイ着運動」です。チャイムが鳴る前(授業開始の前)に子どもたちが自主的に着席しておかないといけないことをさしますが、この運動により、子どもたちは自主性と周りの空気を読む協調性を身につけられるとされています。

スケジュールどおりに自分をコントロールする力も養えると標榜されていて、一部の先生の間では「『チャイ着運動』をさせたクラスでは成績が向上する」という話さえ流布されています。

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