子どもの思いよりも先生や学校の意向を気にしてしまう親のほうが多いはずです。それは親自身が「学校でがまんし続けた」という体験を持っているからではないでしょうか。「私もがまんしたんだから」という思いが、子どもに無理を押しつけてしまっているのかもしれません。
もちろん、子どもが社会で生きていくためにも、ある程度の規範意識を持てるようにすることや、他人とのかかわり合いの中で守らなければいけないルールを身につけさせることは重要でしょう。
これらのルールやきまりを「体罰」というかたちで覚え込ませる時代もありました。当然、暴力をふるうことは許されませんし、いまの時代では大問題になるでしょう。さらに、暴力を伴ったしつけや指導にはたして効果があるのだろうかという疑問も出てきたことから、いまではあからさまな体罰指導はほとんど耳にしなくなりました。
「同調圧力」によるしつけ方法
暴力にかわるしつけの方法として出てきたのが「同調圧力」です。先ほど説明した「チャイ着運動」や「黙食」などはその最たる例ですが、「みんながやっているのに、あなたはなぜやらないの」という雰囲気で子どもたちを縛りつけ、従わざるをえないような状況をつくり上げているのです。
また、これまで中学生や高校生間で問題視されていた「スクールカースト」と呼ばれる生徒間での序列意識が、現在では小学生の間でも頻繁に見られます。
人気者や、スポーツが得意な子どもは最上位の「上位層」、普通の子どもたちは「中間層」、おとなしいタイプの子どもは「下位層」というように、子どもたちの特性によって階層が分かれているのです。
この「カースト制度」にもとづく昨今のいじめ問題は、上位層にいる子どもたちが中間層をいじめ、中間層にいる子どもたちが下位層に属する子どもたちをいじめる、という構図になっています。
昔のように、多数の子どもが寄ってたかって一人の子どもをいじめる、というケースから変わってきているのが現状です。
このように、複雑な人間関係が子どもの学校生活を支配していて、先生や保護者でさえも、このスクールカーストへの介入がとてもむずかしくなっています。
「あなたはあなたのままではいけない。ルールやきまりに『同調』するべき」だという、とても高度なコミュニケーションが子どもの人間関係の「おきて」になり、結果としてうまく同調できる子どもは上位層に入り、同調できない子どもは下位層に押し込められるという、非常にいびつな環境で子どもが生きていることを、大人は認識しなければいけません。
学校の昔と今はさま変わりし、小学生でさえ、子どもらしい無邪気さやすなおさ、人と積極的にかかわっていこうとする態度が見えにくくなっているのも現状です。
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