走りを楽しむ女性が注意したい「骨折と貧血」問題 選手が対策のために摂っている「予防食」とは?

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さらに、ヘモグロビン値が10g/dlを下回るようになると、日常生活でも身体のだるさや重さを感じるようになり、ランニングどころか病的な状態に陥ってしまいます。

ただし、貧血は予防できます。食事から鉄分とタンパク質、ビタミンCを摂取することで、あらかじめ新しい赤血球を作る材料を準備しておくのです。

レバーや大豆、豚肉がおすすめ

マラソン選手が長期合宿を行うときに食べる貧血予防の食材として定番なのが、鉄分を多く含んだレバー、植物性タンパク質の代表である大豆、動物性タンパク質で代謝を促すビタミンB群が豊富な豚肉、そしてミネラルが豊富なひじきなどの海藻類です。

また、貧血予防になる珍しい食材としてデーツがあります。

デーツは鉄分がプルーンとほぼ同量含まれているほか、血液を作るビタミンとして注目されている「葉酸」が豊富で、その値はプルーンの6倍強にもなります。さらに、血糖値を徐々に上げてくれる低GI食品でもあります。サウジアラビアではデーツが貧血の治療に使われているそうです。

デーツ
日本ではあまりなじみがないデーツ(撮影協力:JUSUR)

このように、日ごろ口にする食材を意識してみるだけでも、貧血予防につながりますので、取り入れやすいところから試してみるのがお勧めです。

ランニング習慣が健康にいいことは間違いないと思います。しかし、健康管理を怠って、とにかく走ることばかりやりすぎると骨密度の低下や貧血などの問題が起きるという事実も忘れないようにしましょう。

金 哲彦 プロランニングコーチ

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きん てつひこ / Tetsuhiko Kin

早稲田大学在学中4年連続で箱根駅伝5区(山登り)を走る。卒業後、リクルートランニングクラブの選手を経て、後にコーチ・監督に就任。有森裕子、鈴木博美、志水見千子、高橋尚子らオリンピック選手を指導。現在は市民ランナーからオリンピックランナーまで幅広く指導する、NHK BS1『ランスマ倶楽部』でお馴染みの プロ・ランニングコーチ。テレビやラジオの駅伝・マラソン中継の解説者としても活躍、東京オリンピックや世界陸上オレゴン大会でも陸上競技の解説を担当した。ランニングに関する著書は多数。

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