1980年代にマラソン選手として活躍した増田明美さんは20代半ばで引退したとき、骨密度が65歳くらいと診断されたそうです。
京セラ女子陸上競技部は、アクシデントが起きたレースの2日後に「レース前の白井選手に特に異常はなく、不安のない中での出走で突然の出来事でしたが、細かい体調管理が不足していた部分もあったと反省しております」というコメントを発表しました。
「細かい体調管理」に定期的な「骨密度」の検査が入っていなかったのではないかと推測できます。
女性市民ランナーが駅伝選手のようにタイムを伸ばすためにギリギリまで体重を落として「骨粗鬆症」になることはないと思います。しかし、閉経後は女性ホルモンのエストロゲンが減っていき、体脂肪率が低くなくても骨密度の低下はありえます。
骨密度が低下すると市民ランナーでも疲労骨折のリスクは高くなるので、年に数回は病院で骨密度の検査をしておくことをお勧めします。
そして長距離ランナーには疲労骨折以外にも気をつけなければならない健康問題があります。それは「貧血」です。
長距離ランニングでは、たとえ10キロ程度のジョギングでも固い道路の上を一歩につき体重の3倍以上もの着地衝撃を受けながら数千歩以上進みます。クッション性の高いランニングシューズを履いていても、その衝撃により足の裏で赤血球が壊れ「溶血」することが、長距離ランナーの貧血の原因だといわれています。
走ることと貧血の関係
さらに、閉経前の女性ランナーは生理による出血も加わるため、貧血のリスクが高くなります。
貧血状態かどうかは病院で行う血液検査のヘモグロビン値で判断します。正常範囲は男性が14~18g/dl、女性が12~16g/dlなので、正常値を下回った場合「貧血」状態であると考えます。
ヘモグロビンは鉄分(ヘム)とタンパク質(グロビン)で構成された血液成分の1つで、主に肺で吸収した酸素を身体のすみずみまで運ぶ役割を担っています。
長距離ランナーが貧血状態になると、酸素が脚の筋肉までうまく運ばれず、スピードをあげて走ることができなくなります。また、上り坂ですぐに息が切れるようになります。走れば走るほどトレーニングの効果が出るどころか、ますます貧血がひどくなってしまうこともあります。
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