見るからに健康的で鍛え上げられた肉体を持つスポーツ選手が、なぜ疲労骨折を起こしてしまうのでしょうか? その原因は、とくに女性が気をつけなければいけない健康問題と関わりがあります。
駅伝の選手たちは年間を通じて毎日20キロ以上の距離を走り続けます。夏の走り込み合宿では一度に30キロ以上走り、時々実施するスピード練習では倒れる寸前まで追い込むこともあります。
極限まで追い込むことで体が鍛え上げられ強くなるという仕組みが「トレーニング」ですが、その最大限の効果を発揮するためには、トレーニングの質と量に見合った「休養(睡眠やマッサージなどのメンテナンス)」と「栄養(食事とサプリメントなど)」も同じように大切な要素として考えなくてはいけません。
長距離選手に生じる矛盾
ここで、長距離選手(特に女子選手)にとって1つの矛盾が生じます。
長距離ランニングの大切な能力の1つである最大酸素摂取量(体重1キログラムあたりに摂取する酸素の量=持久力にかかわる大切な能力)は、体重が軽ければ軽いほど高くなるので、より速いタイムで走りたい選手は、体重を減らすために食事を減らすのです。
当然、3つの要素の「栄養」が足りなくなり、身体のバランスを崩します。
トレーニングはすでに限界近くまで行っているので、体重を落とすためには食事をコントロールするしかないと考えてしまうジレンマに陥っている駅伝選手は、今でもたくさんいます。
食事を制限して体重を落とせば、体脂肪が減って体型はガリガリになります。女性は体脂肪率が10%近くになると生理が止まる可能性が高くなります。そして、生理が止まった(月経不順)女性は女性ホルモンであるエストロゲンが不足してしまい、いわゆる「骨粗鬆症」になるのです。
「骨粗鬆症」は一般的に50歳を超えた閉経後に起きる健康問題ですが、「月経不順」に陥ると20歳そこそこの女子駅伝(マラソンも含む)選手たちにも起きうるのです。
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