昇給・昇進を断って退職、36歳で再入社の「深い訳」 「外を見たい」と思っていた彼女の切実な事情

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「1999年にデザインの専門学校を卒業して、小さなアパレル企業に入社し、ECサイト運営を担当するようになりました。インターネットが浸透しきっていない時代ゆえ、社内にWebに詳しい人がいなかったというのが理由です。社長が『好きにやっていいよ』と言ってくれていたので、独学でサイト運営を始めました。

当時、海外からメンズカジュアルを輸入していたので、他の仕事の合間を縫ってECサイトにコツコツ掲載していっていたら、だんだんと売り上げが立つようになり、なんと1日の売り上げが100万円になったんです。これはリアル店舗でも簡単じゃない数字で……この経験を通じて『実店舗がなくても販売できる!』『店舗の家賃もいらないし、人件費も削減できる!』と感動して。

でも、それを数年続けていくうちにスキルの天井が見えてしまったんですよね。インターネットの可能性を信じていたし、これはもう転職しないと成長できないなって……」

違う畑に足を踏み入れ、人生の大きな刺激と彩りに

本命である総合広告代理店への転職を試みたが、業界未経験者にとっては狭き門。特にアパレル業界から広告業界に入る人は稀だった。そんな中、2004年にガイアックスと出会うことになる。

「ガイアックスの第一印象は……一言で言うと『オタク!』という感じでしたね。今でこそネットは誰もが使うものになっていますが、『電車男』が盛り上がっていた当時は選ばれしネット好きが集まっていて、社内も『チェックシャツとジーパン』といったスタイルの人ばかりだったんです。

そんな仲間たちと渋谷で飲み会をした時に、アパレル時代の同僚に会ったことがあるのですが、それはもう本当にびっくりされて(笑)。というのも、当時のアパレルは『可愛くなければ正義じゃない!』時代だったんです。今以上に芸能界ともすごく近い業界で、見栄えが重視されていて、とにかく華がないといけなかった。今と違って、表層的な評価をされる業界だったんですよね」

昔の同僚には驚かれた転職だったが、違う畑に足を踏み入れたことは、結果的に野口さんの人生に大きな刺激と彩りを与えてくれた。

次ページ次第にディレクター的な役割を任せてもらえるように
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