「当時は、目にすること耳にすることとにかくすべてが新鮮でした。IT業界では当たり前のこと、例えばビジネス用語で使う横文字なんてわからないことだらけで。『アジェンダって何?』『フロー? イニシアチブ?』……みたいに、聞いたこともない言葉が当たり前のように飛び交っていました。
また、会社の雰囲気も自分に合っていて。ガイアックスはコミュニティ事業や起業家育成を昔からしていることもあり、オープンソース化やマニュアルの共通化をしていたので、フラットな思想の人が多かったんですね。閉鎖的なアパレル業界にいた身には、垣根を作らない文化が魅力的で……どんどん、IT業界に魅了されていきました。
ただ、アパレル業界での経験が無駄になったわけでもなくて。オタク率の高い社内には、クライアントや社内の営業と、上手にコミュニケーションできる人が当時は少なくて、入社した時はデザイナー枠だったものの、次第にディレクター的な役割を任せてもらえるようになったんです」
外の景色を見てみたい、腕試ししたい
こうして、業界未経験ながらもすぐに戦力となり、最終的にはデザインチームのマネージャーを務めるまでになった野口さん。しかし、率いるデザインチームが拡大して4年ほどする頃に、転職を考えるようになった。
「大手広告代理店の人たちや競合他社の人たちとプレゼンで会う機会もあって、どんどん自分の足りないものが浮き彫りになってきたんです。当時はすでに自分のチームを持っていましたし、仕事を通してチャンスもたくさんいただいていたので、退社することに申し訳ないという気持ちは強かったです。お給料もアパレルの頃に比べたらずっともらっていましたし。会社からはかなり引き止められて、昇給やポジションをアップする話もいただきました。
でも、それでも外の景色を見てみたい、相対的に自分の仕事を見てみたい、腕試ししたい、という思いが強かったんです」
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