子供が大人になっても依存し続ける親の心理構造 不安を抱え、自分に都合の良い生き方を押し付ける

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親がコントロールしようとして価値観や感情、責任を押しつけていると、子どもの心は傷ついていきます。

自信を失い、自己批判が多くなっていきます。

何をするにも親の顔色を伺うようになっていき、自分で決めたことすべてが間違っているように感じて、不安で行動できなくなっていきます。

拙著『嫌いな親との離れ方』でも詳しく解説している、子どもが親からコントロールされているときの心理状態を計るチェックリストの一部をご紹介しましょう。

・親の世話をするのは私の役目だと感じることがある
・親は自分の力で生きられないから私が助けてあげなければと感じることがある
・やりたいことをやっていると親を裏切っているようで申し訳ないと感じることがある
・親はかわいそうな人だから私が支えてあげなければいけないと思うことがある
・親に苦労をさせたのは私だから恩返しをしなければならないと思うことがある
・見捨てられそうで怖いから親が喜びそうなことをしようと思うことがある
・何をやってもうまくできない私は親に迷惑をかけていると思うことがある
・出来の悪い私は親のお荷物になっていると思うことがある
・親に対して「ごめんなさい」を口癖のようにして言っていることがある

このようなことをいつも思い、親から心を傷つけられていることにも気づけず、親を快く思えない自分を批判していきながら、親の支配や依存を受け入れていくようになっていきます。

大切なことは、親と子の間に「境界線」を引き直すこと

今まで親から心を支配され、頼りかかられて依存されてきた人が、この先に大切にしてもらいたいことは、境界線を意識することです。

・親が言っていることは客観的に見て正しいのか?
・親の言うように本当に子どもが傷つけたのか?
・親が言うように子どもが問題を抱えているのか?

境界線の知識をもとにして、どちらの価値観なのか、どちらの感情なのか、どちらの責任なのかと判断できるようになり、もう二度と親の押しつけを受け入れなくするということがとても重要です。

川島 崇照 おとなの親子関係相談所代表、川島崇照メンタルトレーニング・オフィス代表

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かわしま たかあき / Takaaki Kawashima

1974年生まれ、新潟県出身。家のなかでは日常的に怒鳴り声が飛び交っており、ストレスを抱えた親から毎日のように否定や罵倒を受けていた。そのせいか、いつもビクビクしながら親の顔色を伺っていた。社会人になってから自信のない自分を変えたいと考え、あるとき受けたカウンセリングをきっかけに自分の親の不健全さに気づく。それまでに悩み続けてきたことの原因が見つかった瞬間。自分が回復していくなかで、同じように親子関係で悩む人を救いたいと考え、会社を辞職しカウンセリングを学び始める。2011年にカウンセラーとして独立し、その後『おとなの親子関係相談所』を設立する。 妻と子ども2人をこよなく愛す。

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