「Netflix広告プラン」が悪手だと言える3つの理由 「ダーマー」に広告を入れたい企業があるのか
それでもなんとか話ができた局に対しては、CMをつけないと約束したという。だがそこまで話がついてない局の番組にはCMつきで配信されている。ほとんどの局がそうなので、現状、広告モデルというテレビ局との競争領域で多くのテレビ番組にCMがついている状態だ。ビジネスのモラルとしてあり得ないことだろう。
中でもショックを受けたのが、NHK朝ドラ「半分、青い。」がCMつきで配信されていたことだ。NHKはこれまでも広告への関与を公共放送として頑なに拒んできた。TVerへの本格的参加もそこがネックになっている。それなのにNetflixは無理矢理CMをつけてしまったのだ。一人の視聴者として、国民の財産を蔑ろにされた気分になってしまった。
日本だけの問題ではない
それもこれも、準備期間がなさすぎたからだ。そしてこれは日本だけの問題でもないようだ。
海外のメディア動向を伝える南茂樹氏のブログ「DON」では、11月5日付の記事の中で英国での状況を伝えている。大手スポンサーの食いつきが良くないそうなのだ。
「急な開始と高い枠単価、それに伴う要求などに一部の広告主が納得していない」と記事にある。「多くのメディアエージェンシーは、市場に投入されたプロダクツと、契約への要求に感心していない」ともあり、なんとなくピンときた。広告メディアとしてのサービスが悪く、広告主から見て不満なのではないか。
広告費で運営するメディアでは、広告主側に立つ営業と、読者・視聴者側に立つ編集・編成が対立しがちだ。絶妙のバランスで広告主に少しだけ寄らないと広告事業としては成り立たない。
そこがBtoBtoCの難しさ。NetflixはBtoCしかなかったのでBtoBに寄せることはかなり難しそうだ。なにしろ上層部はみんな広告営業を体験してないし広告を軽蔑している。おそらく新参者の広告事業担当者が編成部門や上層部に押されてそれが強引さにつながっているのではないか。
いずれにせよ、たった半年でスタートさせたのがすべての問題を生んでいる。だが始めてしまった今、軌道修正はかなり厳しいだろう。
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