【奇跡の廃墟写真】空から見る軍艦島、星景遺構 全国旅行支援で訪ねてみたい「絶景廃墟」10選
日本で「廃墟」と言うと、1980年代の廃墟ブームに端を発する一部の好事家による奇特な趣味、という文脈で語られることが多いでしょう。ところが西洋美術史を遡れば、既に18世紀にはいわゆる“廃墟趣味”が流行しており、フランスの画家ユベール・ロベールや版画家ピラネージらの作品を筆頭に、廃墟は絵画の主役の地位を確立していました。
日本においては、“祇園精舎の鐘の声”の例を挙げるまでもなく、諸行無常、盛者必衰という「滅びの美学」は、遠い昔から普遍的に人々を惹きつけてきたと言えます。
人はなぜ、「廃墟」に心惹かれるのか
ではなぜ、人々は流れる時の中で滅びた、あるいはいずれ消え去ってしまうであろう光景に心を惹かれるのでしょうか。
20世紀初頭に、ドイツの哲学者ゲオルク・ジンメルが著作『廃墟』の中で3つの見解――「目的と偶然の緊張」(人工物が風化によって美を増す)、「精神と自然の緊張」(人工物が自然物として感受される)、「現在と過去の緊張」(生の生成・流転・消滅が感じられる)――を示しています。
共通するのは時間的な広がりや積み重ねた歴史に対する敬意であり、被災直後の都市や、今まさに戦禍によって破壊されていく建造物に対しては決して心惹かれることはありません。この感覚的な事実を踏まえれば、一応の模範解答として納得することができると同時に、一方で言語化のできない、“廃墟幻想”とでも言うべき感情によって廃墟へ突き動かされているという感覚もまた、確かにあるのです。
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