母が「2浪で東大志望」の僕にキレた意外すぎる訳 あんたは「勉強しろ」と言っても聞く子じゃない

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そうやって犬の散歩に一緒に行っても、僕の心はまったく晴れません。ため息をついたり、「もうダメだ」と口にしたりして、どんよりした空気で散歩していました。

そうすると、母に「うるさい!」と叱られるのです。ちょっとでもネガティブなことを口にすると、「私まで気分が悪くなるから、そういうことを言うな!」と。

僕のネガティブを笑い飛ばす叱り方

そして、「今度そうやって後ろ向きなことを言ったら、その都度、お小遣い100円ずつ減らすからね!」と言うのです。そして散歩中にネガティブなことを言うたびに、これみよがしに「あ、チャリンね!」と言っていじってくるのです。

当時の僕のお小遣いは2000円だったので、20回以上「チャリン」が発生すると、お小遣いの日にはニヤニヤしながら「私に罰金分を払え」と言ってくるのです。

……そうやって接されると、不思議なもので、ちょっとネガティブな気分から脱せたんです。勉強に関しては突き放して、生活面に関しては僕のネガティブを笑い飛ばして。そんな母親だったから、僕は2浪してでも、東大を目指し続けられたんじゃないかと思っています。

みなさんがこの話から何を感じるかはわかりません。僕は別に短絡的に「勉強しなさい!」と言わないほうがいい、と言いたいわけでもありませんし、「ネガティブなことを言うと罰金システム」を採用したほうがいい、と言いたいわけでもありません。

ただ、僕の母親は、僕のことを大人だと思って会話してくれていたと思います。子ども扱いしないで、向き合って、痛い目を見たとしてもそれは本人の問題だし、辛そうにしていたら「私が嫌だから」といって同じ目線で向き合ってくれて。

そんなふうに、子ども扱いして向き合うのではなく、自分の責任で生きていかなければならない大人として向き合ってくれたから、今の僕があるのではないかと思っています。それだけは、読んでいただいたみなさまに伝われば嬉しいです。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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