母が「2浪で東大志望」の僕にキレた意外すぎる訳 あんたは「勉強しろ」と言っても聞く子じゃない

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親御さんとしては、まったく勉強しないわが子に対して「勉強しなさい!」と言いたくなってしまうのは当然です。「このまま自分が何も言わなかったら、次のテストも学校生活もうまくいかないんじゃないか」と考えてしまうことでしょう。

「勉強しなさい!」と言われず、本当にしなかった僕

さて、そんな中で僕は、母親から「勉強しなさい!」と言われなくて、本当に勉強しなかった人間です。

小学生のときは違いました。何度も何度も母親から「勉強しなさい!」と言われたのですが、僕は本当の本当に勉強したくなくて、その言葉から逃げまくっていました。

「このプリント10枚終わらせなさい」と言われたら、3枚くらいは冷蔵庫の裏に隠して、後で母親にしこたま怒られていました。そうやって怒られた後にはふてくされて、家の近くのゲームセンターに行って遊びまくっていました。

そこに母親が追ってきて、「やばい!」と思って逃げて、だけど捕まって……。そんなことをしていた小学校時代でした。

しかし、僕が中学校に入ると、状況が激変しました。母親が、まったく僕に「勉強しなさい!」と言わなくなったのです。

今になって「どうして中学校に入ってから『勉強しなさい!』と言わなくなったの?」と聞くと、こう答えました。

「小学生の間はさすがに親の義務として言ってたけど、中学生になったら、成績が悪くても痛い目を見ても、子どもの責任だと思っていたから。あと、あんたは言っても聞く子じゃないと気づいたから」

そして僕は、「勉強しなさい!」と言われなくなったのをいいことに、本当に勉強しなくなりました。ゲームをしたり、カードで遊んだり、漫画を読んだりアニメを見たりインターネットで遊んだり……。いま思うと、あのとき、よく母親は「勉強しなさい!」と言わなかったな、と思います。

で、当たり前の話ではあるのですが、成績は下がりに下がり、中1でついに、僕は学年ビリになりました。

これにはさすがに僕も「やばい」と思って多少は勉強したのですが、先生にも親にも誰にも助けを求めずに勉強しても、まったく成績は上がりません。学年ビリのままで中学2年生に上がっても、事態はまったく好転しませんでした。

そんな中で、中学2年生のときに三者面談があったのですが、先生からこれでもかというくらい怒られました。「成績は絶望的な状況です。このままでは本当に、まずいですよ」と。

それでも、母親はただじっと、先生の話を聞いていました。先生が何時間も怒っていても、ずっと黙りこくっていました。先生と一緒に僕に「あんた、先生からこんなに言われているんだから、勉強しないとまずいわよ!」などと言うことは、一切なかったのです。

その三者面談の帰り道のことはよく覚えています。僕なりにすごく落ち込んで、「これはきっと、家に帰ってから、めちゃくちゃ怒られるに決まっている」と戦々恐々としていた僕に、母はこう言ったのです。

「晩ご飯はどうしようか?」と。

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