「大伴家持」の歌が全体の1割を占める万葉集
『万葉集』は全20巻ある。とても長い大著である。収録されているのは、4516首もの和歌。なかでも最も多く収録されている歌人。それは、大伴家持(おおとものやかもち)だった。彼の歌は、なんと473首。そう、収録歌のうち1/10は、大伴家持が占めているのである。
国語の教科書だと、「防人歌や貧窮問答歌をはじめ、万葉集には庶民が詠んだ歌や庶民のことを詠んだ歌が多数収録されている」と言われるのだが、もちろん、それは間違いではない。平安時代に編纂された『古今和歌集』などに比べたら、庶民に向いていることは確かだろう。
しかしどう考えても最も多い歌人は家持なのである。
なぜの歌がなんでこんなに多く収録されているのか。まずは万葉集の巻ごとの説明から始めよう。
古今和歌集と比較すると、万葉集の歌の並び方は、それはもうバラバラだ。古今和歌集というと、「春」「夏」から始まる、部立という章の秩序がきちんと並んでいる。しかし万葉集の場合は、全20巻を貫く部立があるわけではない。かといって、年代順に並んでいるわけでもない。
そもそも万葉集は、後から少しずつ歌を付け加える形で今のような形になったらしい。そんなわけで、最初から全20巻の大著にするつもりでカテゴリーを作ったわけではないらしい。
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