岸田文雄首相の所信表明演説でも経済政策の柱の1つとして挙げられたリスキリング。企業内で知識やスキルに関する職業能力の再開発を行うという概念だ。個人のリスキリングに対する公的支援として「5年間で1兆円」のパッケージに拡充する、という方針を打ち出して一躍、注目されることになった。
リスキリングの動きは、こうした動きに先んじて各所ですでに進んでいる。どのようなあり方が学び直しに有効なのか。2つの事例を通して考えてみたい。
オンライン学習が変えるリスキリングへの取り組み
鳥取県では、2021年8月からリスキリング事業を進めている。その主役になっているのはオンライン学習である。
「従来、行政としては職業訓練という形でスキルアップを支援してきました」
鳥取県商工労働部産業人材課の田中拓也さんが説明する。「しかし、コロナの影響で、対面型の研修が難しくなりました。ただ一方で、オンラインが身近なものになり、鳥取にいながらも都市部でやっているような研修が受けられるようになりました。県内でも、デジタルをはじめとして多様なスキルが求められているので、オンラインのプラットフォーム・サービスの導入を開始したのです」
鳥取県が導入したのは、ベネッセが提供するオンライン動画学習サービス「Udemy Business」である。Udemyは2010年、サンフランシスコで設立されたeラーニングの会社。ベネッセは2015年から独占的パートナーシップを結び、Udemy Businessは大企業・中小企業合わせて900社以上に利用されている。IT活用、データ活用、プレゼンやリーダーシップなどのビジネススキルを合わせて8800以上の講座をラインナップしている。
「Udemy Businessを選んだのは、コンテンツの質が実践的であること。すぐに使える技術が学べる、というのが魅力的でした。加えて、学習者へのきめ細かいフォローを行うため、学習管理をして学習履歴を把握できることも評価しました。学習管理をすることで受講者のニーズをすくい上げることができれば、研修事業にもフィードバックできるのではないかという思いもあったのです」
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